2011 Fiscal Year Research-status Report
飼養環境下の家畜におけるゼアラレノン浸潤動態の解明と対策法の確立
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23580441
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
高木 光博 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (40271746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇野 誠一 鹿児島大学, 水産学部, 准教授 (50381140)
音井 威重 山口大学, 農学部, 教授 (30311814)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 家畜 / ゼアラレノン / 尿 / 繁殖 |
Research Abstract |
これまでにFusarium属真菌由来マイコトキシン(MT)で、尿中に排出され、エストロジェン類似作用を持つことから家畜に繁殖障害などを引き起こす可能性が示唆されているゼアラレノン(ZEN)に着目し、 (1)飼養環境下の牛群における尿中ゼアラレノン(ZEN)濃度を指標としたマイコトキシン(MT)浸潤動態モニタリング法の有用性、(2)ウシとブタ卵胞液中におけるZENとその代謝物の存在、および (3) 卵子体外成熟および受精能に及ぼす濃度依存的なZEN添加の影響を明らかにしている。本年度はIn vivo およびIn vitro の側面から以下の2点を明らかにした。 1)他群と比較して有意に高い尿中ZEN濃度(500倍以上)を示した1牛群をZEN浸潤モデル牛群として、その原因を究明するために給与飼料および給与水中ZEN濃度の測定を行うとともに、給与飼料にMT吸着剤を添加して、添加前後での尿中ZEN濃度の変化を観察した。その結果、給与ワラが高尿中ZEN濃度の原因である事、および尿中ZEN濃度を指標として、MT吸着剤添加効果の限界が示唆された。 2) ZENが生殖機能に与える影響をさらに詳細に検証するために、ブタ卵子および精子体外培養系モデルを用いたZEN添加試験を行った。体外成熟培地および媒精用培地にZENを10, 100および1000ppbの濃度で添加して卵子体外成熟培養、体外受精を行い、その後の成熟率、正常受精率および胚盤胞への発生率を比較検討した。その結果、卵子成熟率において濃度依存的な低下が認められたものの、正常受精率および胚盤胞率においては、各群間に有意な差は認められなかった。以上の成果より、1000ppb以下レベルでの生体内ZEN曝露は、胚の初期発生段階での影響は少ない可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1) 申請者らのデータベース中、他群と比較して有意に高い尿中ZEN濃度(500倍以上)を示した1牛群をZEN浸潤モデル牛群として、その原因を究明するとともに対策を講じて、飼養環境下のMT浸潤牛群における尿中ZENモニタリングシステム臨床適用モデルの構築をはかる。達成度)上述したように、ZEN汚染原因の究明、および本モデル牛群を用いたマイコトキシン吸着剤の添加効果に関する臨床試験を既に終えており、現在では得られた尿サンプルを用いた各種マイコトキシン濃度の測定を継続して行っている。これまでに得られた成果の一部は既にJ Anim Sciに掲載予定であり、吸着剤投与効果に関しては、本年6月にポルトガルで開催される世界牛病学会にて口頭発表を行う予定である。最終的なデータに関しては論文として4報投稿予定にしている。 2) ZENが生殖機能に与える影響をさらに詳細に検証するために、卵子体外培養系モデルを用いたZEN添加試験を発展的に継続するとともに、卵胞コラーゲン包埋培養法を確立して、ZEN長期間暴露による卵胞発育および卵子成熟能に対する影響を初めて明らかにする。達成度)上述したように、ブタ体外培養系を用いたZENおよびその代謝物であるα-ZOLへの曝露試験を実施しており、体外成熟培地、および媒精用培地へのZEN添加試験については既にJ Reprod Dev に掲載済みであり、精子保存用液へのZENおよびα-ZOLの長期間添加試験結果に関しては Anim Sci J への掲載が既に決定している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行っている尿サンプルの測定を継続して行い、飼養環境下の牛群におけるZEN浸潤動態に関するデータベースの収集を行うとともに、上述モデル牛群より得られた尿サンプルを用いて、これまでに全く報告のない、MT吸着剤の添加効果について、尿中ZENおよびその代謝物濃度を指標とした客観的な評価方法の確立をはかる。 さらに、我々が確立したLC/MS/MS法による尿中ZEN、α-ZOLとβ-ZOL測定系に加え、免疫系等に強く影響を与えることが指摘されているデオキシニバレノールとの同時測定系を確立することで、繁殖性のみならず、これまで不明な飼養環境下の牛群の健康に及ぼすMT浸潤動態検証の足がかりとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費について)尿、血清および飼料サンプルなどの保存が必要不可欠であり、そのためにプラスチック器具として計上している。さらに、尿および飼料中MT濃度測定のために関連キット代、LC/MS/MS法による尿中MT濃度測定法確立のための添加回収実験と固相抽出のための消耗品費、血清生化学検査のための試薬、器具等の消耗品費、体外培養系実験のための試薬費、その他本申請課題を遂行する上で必要なガラス器具やプラスチック器具等を消耗品費として計上している。旅費について)本申請では我が国の家畜飼養環境下でのサンプリングを必要とし、学外の研究者を研究組織に含むため、打ち合わせや情報交換のための旅費が必要不可欠である。サンプリング旅費、研究打ち合わせ等を国内旅費として計上している。また、本申請課題を遂行する上で、国際的なレベルでの情報収集および研究成果の積極的な公表のための費用が必要となる。さらに、我々の研究課題に対する助言を仰ぐために、ユトレヒト大学訪問を必要とする。これらの費用を国外旅費として計上している。なお、国内および国外旅費の交通費、宿泊費、日当は学内の旅費規程に従って算出している。その他)最終年度に本申請課題の成果を印刷、公表するための費用としての報告書作成費、情報収集のための複写費、採取したサンプルの運搬費、専門誌への投稿料などの研究成果発表費を計上している。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Natural contamination of dietary rice straw with zearalenone and urinary zearalenone concentrations in a cattle herd2012
Author(s)
H. Hasunuma, M. Takagi, O. Kawamura, C. Taniguchi, M. Nakamura, T. Chuma, S. Uno, E. Kokushi, D. Matsumoto, C. Tshering, E. Deguchi, and J. Fink-Gremmels
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Journal Title
J Anim Sci
Volume: In press
Pages: In press
Peer Reviewed
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