2011 Fiscal Year Research-status Report
新規ナノ粒子アジュバンドを利用した犬癌ワクチンの臨床応用
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23580443
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
桃井 康行 鹿児島大学, 農学部, 教授 (40303515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木之下 明日香 (瀬戸口 明日香) 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (00396813)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 犬 / 腫瘍 / リンパ腫 |
Research Abstract |
●犬CD20のエピトープの同定と犬CD20ペプチドの合成CD20は4回膜貫通型の膜蛋白である。人やマウスにおけるこれまでの研究でCD20を認識する抗体のエピトープは第2細胞外領域付近にあることが多い。そこで本研究では、犬の相同領域について分子内シスルフィド結合を保った30アミノ酸からなるペプチドを合成した。このペプチドをキャリアー蛋白と共にウサギへ免疫し、ペプチドに対する抗体価が上昇することが確認できた。●治療適応を判定するための抗CD20抗体の作成合成したペプチドをウサギに免疫したところ抗体価の上昇が確認された。この免疫したウサギの血清を犬の末梢血中B細胞と反応させたところ、ウサギで誘導された抗血清は犬B細胞と反応せず細胞膜上のCD20分子を認識しないことが明らかとなった。そこで再度、このペプチドをマウスに免疫したところ、やはり抗体価の上昇はみられるが犬B細胞への反応は確認できなかった。この結果からCD20に対する抗体を作成するには、立体構造が重要であることが示唆された。そこで、細胞に遺伝子導入した全分子で免疫し、犬CD20に対するモノクローナル抗体を作成することにした。犬の末梢血からmRNAを抽出し、それをテンプレートにRT-PCRを行い、犬CD20分子を増幅した。これまでに犬CD20分子のアミノ酸コーディング領域の全長の遺伝子クローニングを終了し、塩基配列を決定している。現在、マウス細胞で発現させるためのプラスミドを制作中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の23年度の予定としては●犬CD20のエピトープの同定と犬CD20ペプチドの合成●治療適応を判定するための抗CD20抗体の作成を行う予定であった。ペプチド合成については順調に行うことができたが、犬の細胞表面上のB細胞を認識する抗体を誘導することは成功していない。免疫動物としてウサギとマウスを試したが、その両者で誘導できないことから細胞上のCD20に対する抗体を作成するためには、立体構造を保ったまま免疫する必要がある。そこで、当初の予定どおり、犬CD20発現プラスミドを作成し、モノクローナル抗体を作成する方向で研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定どおり犬の抗CD20に対するモノクローナル抗体の作成を推進する。臨床試験についても当初の予定どおり犬リンパ腫に対するCD20ペプチド-ナノ粒子アジュバントワクチンの投与を行うほか、より迅速に結果を得るために新たに犬の悪性黒色腫も研究対象に加える。平成24年度は犬のメラノーマに対するペプチド合成を行う他、メラノーマ特異抗原の遺伝子クローニングも行い、平成25年度以降の臨床試験の準備を整える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画どおりCD20に対するモノクローナル抗体の作成、実際の症例を対象にした臨床試験を行う。モノクローナル抗体の作成では、昨年度はCD20ペプチドを投与して、免疫誘導を試みたが、血清中の抗体誘導がみられなかったため、モノクローナル抗体の作成を中止し、未使用の研究費が生じる大きな原因になった。本年度は昨年、未使用の研究費を使用してCD20発現細胞用いてモノクローナル抗体の作成を試みる予定である。本年度分の研究費は主として研究を遂行するための試薬、実験器具など物品購入に使用する。臨床試験では、投与のための機材やワクチン効果を解析するための試薬および実験器具等の購入に使用する。今回迅速に結果をだすために新たに、悪性黒色腫も研究対象としたが、黒色腫特異的抗原ペプチドの合成や遺伝子クローニングにも研究費を使用する。研究成果を学会等に発表するため必要に応じて旅費としても研究費を使用する。
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