2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規ナノ粒子アジュバンドを利用した犬癌ワクチンの臨床応用
Project/Area Number |
23580443
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
桃井 康行 鹿児島大学, 獣医学部, 教授 (40303515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木之下 明日香 (瀬戸口 明日香) 鹿児島大学, 獣医学部, 准教授 (00396813)
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Keywords | 犬 / 腫瘍 / ワクチン / 癌 |
Research Abstract |
伴侶動物の獣医療では腫瘍は重要な疾患となっている。本研究では犬で多い腫瘍を対象に新規ナノ粒子をアジュバントとした癌ワクチン開発を行った。犬で完治困難な、B細胞型リンパ腫と悪性黒色腫を対象とした。B細胞型リンパ腫に対してはCD20分子を標的と第2細胞外領域のアミノ酸残基からエピトープと推測される部分で分子内ジスルフィド結合を持つペプチドを合成した。悪性黒色腫については、黒色腫特異的な発現するMelan-AおよびTyrosinase-related protein-2 (TRP-2)を標的としてペプチド合成を行った。TRP-2についてはこれまで報告がなかったため、本研究によりcDNAの塩基配列を決定し、データベースへ登録した。これら合成ペプチドをアジュバントと共にウサギに接種したところ抗体価の上昇がみとめられ、抗原性を持つことが示された。次にペプチドをKeyhole limpet hemocyanin (KLH)とコンジュゲートした後、ナノ粒子アジュバントに吸着させ、リンパ腫の犬(CD20)および健常犬に投与した。その結果、ペプチドに対する抗体産生は認められたが、末梢血B細胞の減少やメラノーマ細胞株に対する細胞性免疫の誘導は確認できなかった。今後、抗原ペプチドやアジュバントを改良することにより有効なワクチン開発につなげられると考えられた。また、DNAワクチンを開発する目的でCD20ーGFP融合蛋白およびmelan-A, TRP-2発現プラスミドを構築しHEK293細胞へ導入したところ導入遺伝子由来蛋白の発現が確認され、DNAワクチンとして用いることができる可能性が示された。さらに犬で多い肥満細胞腫について将来的な免疫療法を確立するために、モノクローナル抗体を用いた細胞表面KIT蛋白の解析系を作成し、KIT蛋白が犬の肥満細胞腫の半数程度で発現していることを明らかにした。
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