2013 Fiscal Year Annual Research Report
牛精漿中に含まれる子宮機能調節蛋白の同定とその作用経路の解析
Project/Area Number |
23580446
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
片桐 成二 酪農学園大学, 獣医学群, 教授 (00292061)
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Keywords | 子宮内膜 / サイトカイン / 精漿 / 受胎性 / リンパ節 / 乳牛 |
Research Abstract |
牛の精漿は腟内に投与することにより子宮での上皮成長因子の発現を正常化し、受胎性を促進することから、精漿投与後の腟から子宮へのシグナル伝達経路を検討した。まず、精漿を腟内に投与して子宮機能調節に関わるサイトカインおよび増殖因子発現への効果を調べた。その結果、牛の腟内に精漿を投与すると一過性にインターロイキン(IL)-2および-4の発現が増強され、IL-6の発現は一旦抑制され、次いで増加することが分かった。このため、腟から子宮へのシグナル伝達には、免疫系の細胞あるいはこれらの細胞が産生する因子が中心的な役割を果たし、腟からリンパ系を介して伝達されると考えられた。そこで、腟壁内にトレーサー(微粒子活性炭およびスルファンブルー溶液)を投与して、腟からのリンパ液(細胞)が流入するリンパ節を調べたところ、腟からのリンパ液(細胞)は主に内腸骨および深鼡径リンパ節に流入することが分かった。また、腟内に精漿を投与した場合にも、これら2つのリンパ節でのサイトカイン発現の変化することを示した。さらに、精漿を腟壁の左右いずれか一側に投与した場合、精漿投与後4時間目まではサイトカイン発現の変化は精漿を投与した側の内腸骨および深鼡径リンパ節に限局していたが、8~12時間目以降は反対側のリンパ節、あるいは腹腔および体表リンパ節にもサイトカイン発現の変化がみられた。これらの結果から、精漿は腟からリンパ系路を介して骨盤腔内および全身の免疫系を修飾することにより子宮機能を調節することが示唆された。本研究は、牛の腟が生殖機能調節に積極的に関与していることを明らかにした初めての研究であり、今後その経路および関与する細胞および因子を詳細に検討することにより、新たな受胎促進技術の開発が期待される。
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Research Products
(6 results)