2012 Fiscal Year Research-status Report
犬の僧帽弁閉鎖不全症における心不全治療薬の自律神経機能改善効果の比較
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23580449
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
藤井 洋子 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (10318884)
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Keywords | 心拍変動 / 慢性変性性房室弁疾患 / 内科治療 / 犬 |
Research Abstract |
犬の心不全治療薬として、利尿薬やレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)抑制薬は必要不可欠である。利尿剤は使用量が多いと予後不良であるとされており、それは心機能を示す他のパラメータとは独立しているとされている。利尿剤のうち、フロセミドは最もよく使用されているが、短時間作動型のためRAASおよび交感神経系をより強く活性化させてしまう可能性が指摘されている。このためフロセミド投薬時にはアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の併用が推奨されている。しかしRAAS抑制薬はACE阻害薬だけではなく、スピロノラクトン、カンデサルタンなど様々存在する。犬の心不全においてどの薬剤の組み合わせが、最も効果的に利尿剤による好ましくない代償機構の活性化を抑制することができるのか不明である。そこで今回、僧帽弁閉鎖不全(MR)モデル犬において、利尿剤と心不全治療薬を組み合わせて投与し、自律神経機能解析およびRAASの評価を行うことにより、心不全治療薬の代償機構への影響検討することとした。 平成23年度は、MRモデル犬にフロセミドを投与し、さらにACE阻害薬単独、ACE阻害剤とアンジオテンシンII受容体拮抗薬の併用が心拍変動に及ぼす影響を検討したが、当初予定していたMRモデル犬5頭のうち2頭が実験に使用できない健康状態に陥り、3頭のみからしかデータ採取ができなかった。データ解析を行ったが、さらに検討するにはn数が足りないと判断し、そこで平成23年度は新たに5頭のモデル犬を作成した。平成24年度は、新規に作成したモデル犬5頭を使用し、フロセミド投与に加えピモベンダン、ピモベンダン+エナラプリル、エナラプリル+スピロノラクトン、エナラプリル+カルベジロールの各群をクロスオーバーさせ、心拍変動解析および尿中アルドステロン濃度の検討を行った。さらにフロセミドとアゾセミドの比較も実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年報告した通り初年度に、全身疾患発病によるモデル犬喪失の影響から、n数の回復に時間を要したことが実験進行の遅れにつながっている。しかし現在まで、プロトコールの半分のデータ採取は終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の群をクロスオーバーさせ検討する予定としてきたが、現時点では⑤⑥⑦⑧の群についてデータ採取が終了した。①から④については初年度の犬の喪失からデータがまだ足りないことから、再度今年度データの採取に努める予定である。 群設定:①プラセボ(1日2回、経口投与)②フロセミド単独(2mg/kg, 1日2回、経口投与)③フロセミド+ベナゼプリル(0.5mg/kg, 1日2回、経口)④フロセミド+ベナゼプリル+カンデサルタン(1mg/kg,1日1回、経口)⑤フロセミド+ピモベンダン⑥フロセミド+ピモベンダン+エナラプリル⑦フロセミド+エナラプリル+スピロノラクトン⑧フロセミド+エナラプリル+カルベジロール さらに、長時間作動型利尿剤であるアゾセミドについても検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記研究を遂行するために、環境の一定な飼育施設における犬の管理、実験に使用する薬剤および検査、さらにその消耗品に研究費を使用する。
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