2013 Fiscal Year Annual Research Report
犬の僧帽弁閉鎖不全症における心不全治療薬の自律神経機能改善効果の比較
Project/Area Number |
23580449
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
藤井 洋子 麻布大学, 獣医学部, 教授 (10318884)
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Keywords | 心拍変動 / 慢性変性性房室弁疾患 / 内科治療 / 犬 |
Research Abstract |
犬の心不全治療薬として利尿薬は必要不可欠であるが、利尿剤による代償機構の亢進が心不全の病態進行に寄与する可能性が指摘されている。そこで本研究の目的は、僧帽弁閉鎖不全(MR)モデル犬において、利尿剤と心不全治療薬を組み合わせて投与し、自律神経機能解析およびレニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系の評価を行うことにより、心不全治療薬の代償機構への影響を検討することである。 平成25年度は、まず平成24年度に新規に作成したモデル犬5頭を使用した実験(プラセボ群、フロセミド群、フロセミド+ピモベンダン、ピモベンダン+エナラプリル、アゾセミド群の各群をクロスオーバーさせ、心拍変動解析および尿中アルドステロン濃度の検討)の解析を行った。その結果、心拍変動の各パラメータにおいて、プラセボ群、フロセミド群、投薬群の間に有意な差が認められなかった。この結果の解釈として、本研究で使用したMRモデル犬において心不全治療薬は自律神経機能に影響を及ぼさなかったと捉えるか、あるいは心不全治療薬が自律神経に及ぼす影響は存在するものの本検査法は軽微な変動に対する検出力が低いため、および/あるいは実験頭数が少ないために有意差が認められなかったとも考えられる。また環境因子に自律神経活動は多大なる影響を受けるため、それにより検出エラーが生じた可能性も考慮される。そこで心拍変動の環境要因による影響を排除するために飼育環境の統一化をさらに厳重に行い、再実験を遂行することとした。現在まだ実験中であるが、2014年8月に再実験結果が得られる予定である。一方、各群のRAA系への影響について検討したところ、アゾセミド群はフロセミド群と比較してRAA系の活性化が最小限である傾向が得られた。したがって、長時間作用型の利尿薬の方が代償機構の観点からはより好ましい薬剤である可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)