2013 Fiscal Year Annual Research Report
低品位硫化鉱石からの金属資源回収技術の高効率化に関する研究
Project/Area Number |
23580458
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
上村 一雄 岡山大学, その他の研究科, 教授 (80294445)
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Keywords | 鉄酸化細菌 / 硫黄酸化 / チオ硫酸デヒドロゲナーゼ / バクテリアリーチング |
Research Abstract |
Acidithiobacillus ferrooxidansは、二価鉄および還元型無機硫黄化合物を酸化できるため、低品位の硫化鉱石から銅などを回収する技術であるバクテリアリーチングに利用されている。この技術には鉄酸化活性と硫黄酸化活性が同時に必要である。本菌の鉄酸化酵素系と硫黄酸化酵素系は全く異なり、生育基質の違いによって代謝経路を切換えていることが明らかにされている。この切換え機構の解明によって,バクテリアリーチング能の改良が期待される。昨年度までに、硫黄代謝に関与する新たなタンパク質を明らかにするために、チオ硫酸デヒドロゲナーゼ(Tsd)活性を指標にタンパク質の精製を行った。本酵素は、活性発現に硫酸イオン要求性を示した。活性は、テトラチオン酸あるいは元素硫黄を生育基質として用いた場合の細胞で検出されたが、二価鉄を生育基質として用いた細胞には検出されず、tsd遺伝子は硫黄化合物存在下で特異的に発現していた。タンパク質をコードする遺伝子(tsd)は、硫黄代謝に関連した遺伝子とクラスターを形成していた。相同性解析の結果、いくつかの硫黄酸化細菌や好酸性細菌などにホモログ遺伝子が存在することが分かり、同時にその近傍に硫酸結合タンパク質のホモログ遺伝子(sbp)を持つことも明らかとなった。従って、TsdはSbpと結合して存在し、Sbpが酵素活性に硫酸イオン要求性を付与することが示唆された。大腸菌で発現させたtsd遺伝子産物を精製し,その性質をA. ferrooxidans細胞から精製したTsdと比較した。発現したタンパク質はTsd活性を示し、酵素活性の性質はA. ferrooxidansのものとほぼ一致した。従って,検出された遺伝子がTsdをコードしていることが確認できた。なお、sbpについても大腸菌で発現させたタンパク質を用いて、Tsd活性が硫酸要求性をしめすためにSbpが必要であることを明らかにした。
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Research Products
(8 results)