2011 Fiscal Year Research-status Report
対立遺伝子間相互作用が関与する新しい耐寒性制御モデルの検証と機構解明
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23580469
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
堤 賢一 岩手大学, 農学部, 教授 (40113964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 靖史 岩手大学, 農学部, 准教授 (70287100)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | リンドウ / 越冬芽 / 耐寒性 / 遺伝子発現 / 遺伝子多型 / 対立遺伝子不均等発現 |
Research Abstract |
リンドウ越冬芽の耐寒機構に関与するタンパク質 W14/15をコードする遺伝子には12種類の多型(バリアント)が存在し、耐寒性低下をもたらすバリアントアレルが存在すること、これを対立遺伝子にもつヘテロ2倍体では他方の対立遺伝子が抑制され、これが耐寒性低下をもたらす。対立遺伝子間相互作用が関与する耐寒機構は他に例がない。本研究はW14/15遺伝子バリアントの遺伝様式、バリアントタンパク質の機能およびクロマチン構造の解析を行い、新しい耐寒機構を解明することを目的とした。平成23年度は(1)交配実験による耐寒性低下をもたらすバリアントアレルの確認と遺伝様式、(2)対立遺伝子間相互作用とクロマチン構造について解析した。(1) については、耐寒性低下アレルを持つ品種GSW (遺伝子型:W14b2/W14b2)とそれを持たない品種Aki-6PS (W15a’/W15a’)を交配したヘテロ2倍体(W14b2/W15a’)を萌芽させ越冬率を解析したところ、親株Aki-6PSよりも低い越冬生存率を示した。この系統の越冬前の対立遺伝子各々のmRNA発現量をqRT-PCRで測定した結果、個体差が大きいものの、全体として対立遺伝子間不均等が見られた。また、この交配系統の遺伝子のクロマチン構造を解析する目的(上記(2))で、対立遺伝子各々のW14/15遺伝子バリアント(W14b2およびW15a’)のプロモーター構造の詳細な解析とシトシンメチル化状態を解析した。その結果、転写開始点上流部約 700 bpの一時構造にも塩基置換や数ヌクレオチド欠失等の違いがあることが判明し、これが発現強弱やクロマチン構造に反映される可能性が出てきた。メチル化状態については、重亜硫酸塩による化学修飾法で解析した。予備的な結果であるが、メチル化レベルが有意に異なる領域が存在した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
9で述べた(1)および(2)については予備的結果を得た段階であるがほぼ順調といえる。しかし、当初目的のW14/15タンパク質の生化学的解析が思うように進行していないので全体としては(3)とした。理由は多数のバリアントタンパク質作成に時間と労力を要することである。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおりに研究を遂行するうえで特に障害や問題点はない。また、研究計画変更の必要性も今のところない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画どおり消耗品が主であるが、謝金(研究補助)、論文投稿料、および学会等出張費を申請したい。
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