2011 Fiscal Year Research-status Report
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23580477
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Research Institution | Kitakyushu National College of Technology |
Principal Investigator |
井上 祐一 北九州工業高等専門学校, 細胞工学センター, 准教授 (20284911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川原 浩治 北九州工業高等専門学校, 細胞工学センター, 教授 (20321515)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ヒト抗体 / ヒト細胞株 / レチノイド |
Research Abstract |
完全ヒト抗体の作製法としてはヒト細胞を用いた細胞融合法や遺伝子工学的手法などがあるが、これらの方法にはヒト細胞の融合効率が低い、あるいは抗体生産性が低いといった問題があった。そこで本年度は、新規ヒト融合パートナーの作製と融合条件の検討、およびレチノイド応答シグナル伝達機構を利用した抗体産生増強の検討を行った。 新規ヒト融合パートナーを作製し、ヒトリンパ球細胞株との融合効率を蛍光画像解析システムで調べた結果、融合効率は約50%であることが分かった。また従来のヒト融合パートナーでは約76%であった。したがって細胞融合の際の融合効率は比較的高く、融合後の細胞選択条件を検討することで高効率に融合細胞を取得できると考えられた。また融合細胞の選択条件を検討した結果、HAT培地中のウシ胎児血清(FBS)の品質(ロット)が選択結果に最も影響を及ぼしていることが明らかになった。したがってFBSを主に吟味することによって、現在のヒト融合パートナーを使用して30%以上の効率でヒト融合細胞を得ることができると考えられた。 一方、ヒト融合細胞にレチノイン酸受容体関連オーファン受容体(RORC2)遺伝子導入した結果、数クローンにおいてレチノイン酸(RA)非依存的な抗体産生の増強が確認された。またRAやそのシグナル分子は、融合細胞の凝集やギャップ結合を介して効率的に伝達されている可能性が示唆された。 天然型の完全ヒト抗体の高生産がうまくいかなかった場合を考慮して組換え型の完全ヒト抗体の高生産についても検討した結果、RAのフルクトース代謝改善機構を利用した生産システム(GLUT5 co-expression system)をヒト細胞株SC-01MFPなどに導入することによって従来の2倍の完全ヒト抗体を生産できることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト融合細胞を効率的に取得するための方向性が明確になっていることに加え、抗体生産性を向上させるための方法についてもいくつか結果が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に得られた結果に基づいてさらに研究を進め、完全ヒト抗体を効率的に生産できるように最適化、汎用化する。具体的には、ヒト融合細胞に抗体産生増強機構を導入し、すべてのヒト融合細胞で抗体生産量が増強できるようにする。また、ヒト融合パートナーにも抗体産生増強機構を導入し、細胞融合することによって、あらゆるヒト抗体を効率的に生産できる技術の開発をめざす。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
直接経費50万円(物品費45万円、旅費5万円)、間接経費15万円として、当初の計画通りに使用する。
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Research Products
(2 results)