2013 Fiscal Year Annual Research Report
高度に縮環した天然物ステモフォリンの全合成及び構造活性相関研究
Project/Area Number |
23590003
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
下川 淳 名古屋大学, 創薬科学研究科, 助教 (60431889)
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Keywords | 天然物全合成 / アルツハイマー病 / ステモフォリン |
Research Abstract |
アルツハイマー型認知症は重篤な記憶障害や言語障害に至る進行性の疾患であり、本人のみならず家族をはじめとした介護者に対しても長期にわたり非常に大きな負担を強いることが問題となっている。そのため人類の健康に寄与し、また増え続ける医療費を削減する ためにも本疾患に対する治療方法の充実は喫緊の課題である。アセチルコリン分解酵素阻害薬はアルツハイマー型認知症治療薬として の有効性が既に広く認められている。ステモフォリンは非常に強力なアセチルコリン分解酵素阻害活性を有することが明らかにされ、 半合成的な構造活性相関研究からその分子全体の骨格が活性に影響していることが判明している。網羅的な構造活性相関研究を行うには非常に込み入ったカゴ状構造を持つ分子全体を自由に改変できる技術を開発することが必要となる。そのために本研究は誘導体合成 研究を志向した全合成研究及び誘導体合成研究を執り行なうことを目的として研究を開始した。 最終年度はステモフォリンの中心となるカゴ状骨格を完全構築するため種々の環化方法について主に検討を行った。当初はTBSシアノヒドリンより生じるアニオンを分子内でラクトンへと反応させることにより環化を試みたが、分子のひずみが大きいこともあり、原料の回収に終わった。そこでスルホキシド由来のアニオンを用いたところ、分子内のキレート形成が有利であったために、環化体を得ることに成功した。しかし、ここからの炭素鎖伸長に困難が生じる結果となった。最終的には予め炭素鎖伸長を行ったアリルスルホキシドからの環化反応とシリル化による反応終了、さらに引き続くシラプメラー反応を用いることによって環化に加え、チオエステルへの構築が可能となった。ここからメチル化、環化反応によってステモフォリンの中心カゴ状骨格を構築することに成功した。現在報文への発表準備を行っている。
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Research Products
(4 results)