2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23590007
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
佐野 茂樹 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20226038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 允泰 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (60550001)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | グリセロリン脂質 / スフィンゴリン脂質 / ホスホン酸エステル / リン酸ジエステル / HWE反応 / ホスファチジン酸 / スファチジルエタノールアミン / ホスファチジルコリン |
Research Abstract |
光学活性グリセロリン脂質の効率的な化学合成法の開発を目的とし、ホーナー・ワズワース・エモンズ試薬(HWE試薬)をリン酸モノエステルおよびリン酸ジエステルの保護前駆体として用いるホスファチジン酸(PA)およびホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルコリン(PC)の合成を検討した。すなわち、ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)ホスホノ酢酸メチル(Still試薬)のリン原子上の一方のトリフルオロエトシキ基を、求核置換反応により(S)-2,3-ジベンジルオキシプロポキシ基へと変換し、一連のグリセロリン脂質合成の鍵中間体となるHWE試薬を合成した。次に、リン原子上のもう一方のトリフルオロエトシキ基を2-(トリメチルシリル)エタノールおよびN-Boc-2-アミノエタノールと置換し、続くグリセロールの保護基の脱保護とパルミチン酸との縮合反応により、リン酸エステルの保護前駆体であるHWE試薬を得ることに成功した。最後に、樹脂担持ベンズアルデヒド等価体とのHWE反応を行い、目的とするホスファチジン酸(PA)およびホスファチジルエタノールアミン(PE)の合成を達成した。ホスファチジルコリン(PC)に関しては、一連のグリセロリン脂質合成の鍵中間体となるHWE試薬とコリン(各種塩)との反応により目的とするホスファチジルコリン前駆体(HWE試薬)が得られなかった。そこで、コリンの代わりに2-ブロモエトキシキを導入し、続くトリメチルアミンとの反応により当該前駆体(HWE試薬)を構築する合成経路を新たに採用することとした。今後は、上記合成経路によるホスファチジルコリン(PC)の合成を達成するとともに、各種グリセロリン脂質やスフィンゴリン脂質、含フッ素1-リゾグリセロリン脂質ミメティクス合成への応用展開を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に計画していた「樹脂担持HWE試薬を用いる天然型グリセロリン脂質の合成」を検討するには至っていないが、「樹脂担持アルデヒド等価体を用いる天然型グリセロリン脂質の合成」によって目的とするホスファチジン酸(PA)およびホスファチジルエタノールアミン(PE)の光学活性体合成を達成することができた。さらに、本合成法を基盤とするならば、各種グリセロリン脂質やスフィンゴリン脂質、含フッ素1-リゾグリセロリン脂質ミメティクスの効率的合成法の確立も十分に可能であると予想されることから、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
HWE反応を鍵反応とするリン脂質合成法の開発を「樹脂担持アルデヒド等価体を用いる天然型グリセロリン脂質の合成」経路に絞り込んで検討し、各種グリセロリン脂質やスフィンゴリン脂質、含フッ素1-リゾグリセロリン脂質ミメティクスの合成へと応用展開することで、本研究の目的達成を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在までの研究は「おおむね順調に進展している」ことから、次年度の研究費は当初の使用計画に基づいて使用する。
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