2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23590007
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
佐野 茂樹 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20226038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 允泰 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (60550001)
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Keywords | グリセロリン脂質 / スフィンゴリン脂質 / ホスホン酸エステル / リン酸ジエステル / HWE反応 / フッ素原子 / ホスファチジン酸 / リゾリン脂質 |
Research Abstract |
光学活性グリセロリン脂質の効率的な化学合成法の開発を目的とし、ホーナー・ワズワース・エモンズ試薬(HWE試薬)をリン酸モノエステルおよびリン酸ジエステルの保護前駆体として用いるホスファチジン酸(PA)およびホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルコリン(PC)の合成を検討した。はじめに、ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)ホスホノ酢酸メチル(Still試薬)へ2-ブロモエトキシ基を導入する新たな合成経路によりホスファチジルコリン(PC)前駆体(HWE試薬)の合成を検討した。しかしながら、目的とするHWE試薬の合成には至らなかった。そこで、18-クラウン-6-エーテルならびに炭酸カリウムの存在下、光学活性PEをヨードメタンによりメチル化することで光学活性PCの合成を達成した。さらに、安価で入手容易なジメチルホスホノ酢酸メチルを原料とする光学活性PAの、より簡便で効率的な合成法について検討した。すなわち、ジメチルホスホノ酢酸メチルと五塩化リンの反応により得られるジクロロホスホノ酢酸メチルと2-(トリメチルシリル)エタノールのリン原子上での求核置換反応によりビス(2-トリメチルシリルエチル)ホスホノ酢酸メチルを合成し、樹脂担持ベンズアルデヒド等価体とのHWE反応により対応するリン酸ジエステルを得た。次いで、(S)-2,3-ジベンジルオキシプロパノールとの光延反応によりリン酸エステル化反応を行ったところ、目的とするリン酸トリエステルを得ることに成功した。そこで、ベンジル基の脱保護後にパルミチン酸とのエステル化反応を行い、2-(トリメチルシリル)エチル基を脱保護することで光学活性PAへと変換した。加えて、含フッ素1-リゾグリセロリン脂質ミメティクス合成を目的とした光学活性含フッ素グリセロール誘導体の合成についても検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ホスファチジルコリン(PC)前駆体(HWE試薬)の合成は達成できていないが、ホスファチジルエタノールアミン(PE)のメチル化によりホスファチジルコリン(PC)を合成することに成功した。さらに、安価で入手容易なジメチルホスホノ酢酸メチルを原料とする光学活性PA合成法を確立した。また、含フッ素1-リゾグリセロリン脂質ミメティクス合成を目的とした光学活性含フッ素グリセロール誘導体の合成についても検討を開始しており、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
HWE反応を鍵反応とする「樹脂担持アルデヒド等価体を用いるグリセロリン脂質の合成」経路により、含フッ素1-リゾおよび2-リゾグリセロリン脂質ミメティクス合成への応用展開を中心として検討することにより、本研究の目的達成を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在までの研究は「おおむね順調に進展している」ことから、次年度の研究費は当初の使用計画に基づいて使用する。
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