2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23590007
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
佐野 茂樹 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20226038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 允泰 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (60550001)
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Keywords | グリセロリン脂質 / スフィンゴリン脂質 / ホスホン酸エステル / リゾリン脂質 / リン酸ジエステル / HWE反応 / フッ素原子 / ホスファチジン酸 |
Research Abstract |
光学活性グリセロリン脂質の効率的な化学合成法の開発を目的とし、ホーナー・ワズワース・エモンズ試薬(HWE試薬)をリン酸モノエステルおよびリン酸ジエステルの保護前駆体として用いるホスファチジン酸(PA)およびホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルコリン(PC)の合成を検討した。すなわち、ビス(2,2,2-トリフルオロエチル)ホスホノ酢酸メチル(Still試薬)のリン原子上の一方のトリフルオロエトシキ基を、求核置換反応により(S)-2,3-ジベンジルオキシプロポキシ基へと変換し、一連のグリセロリン脂質合成の鍵中間体となるHWE試薬を合成した。次に、リン原子上のもう一方のトリフルオロエトシキ基を2-(トリメチルシリル)エタノールおよびN-Boc-2-アミノエタノールと置換し、続くグリセロールの保護基の脱保護とパルミチン酸との縮合反応により、リン酸エステルの保護前駆体であるHWE試薬へと変換した。最後に、樹脂担持ベンズアルデヒド等価体とのHWE反応を行い、目的とする光学活性PAおよびPEの合成を達成した。光学活性PCは、18-クラウン-6-エーテルならびに炭酸カリウムの存在下、PEをヨードメタンによりメチル化することで合成した。また、安価で入手容易なジメチルホスホノ酢酸メチルを原料として用い、ビス(2-トリメチルシリルエチル)ホスホノ酢酸メチルを鍵中間体とする光学活性PAの新たな合成経路を確立した。 さらに平成25年度は、ペルフルオロブタンスルホニルフルオリドによる脱酸素的フッ素化反応により2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-メタノール誘導体より合成した光学活性含フッ素グリセロールを用い、Still試薬と反応により得られたHWE試薬を鍵中間体とすることで、含フッ素リゾホスファチジン酸ミメティクスの合成にも成功した。
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