2013 Fiscal Year Annual Research Report
不斉カルボン酸によるホウ素試薬および関連試薬の活性化に基づく新規触媒反応の開発
Project/Area Number |
23590009
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
杉浦 正晴 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 准教授 (00376592)
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Keywords | 有機分子触媒 / 触媒反応 / カルボン酸 / ホウ素試薬 |
Research Abstract |
ボロン酸のα,β-不飽和ケトンへの不斉共役付加反応において、O-モノアシル酒石酸が有用な触媒となることを見出したことを契機に、「不斉カルボン酸を基軸とするシンプルな触媒系を用いて、ホウ素試薬や関連試薬および入手容易な原料を活性化することにより、新規な触媒的不斉合成法を開発すること」を目的に本研究を展開している。平成23~24年度は、O-モノアシル酒石酸の触媒作用機構および回収・再使用の検討、共役ジエノンに対するスチリルボロン酸の不斉共役付加、不斉アリル化への展開を行った。以下に、本最終年度に得られた成果を要約する。 (1)上述の不斉共役付加反応について、アルゼンチン・ロサリオ国立大学のPellegrinet博士との共同研究により、DFT計算による触媒作用機構の解明を引き続き行った。その結果、触媒のα-ヒドロキシカルボン酸部位がボロン酸とアシルオキシボラン錯体を形成し、エノン基質が配位した後、触媒のもう1つのカルボキシル基がアシルオキシボランのカルボニル酸素に徐々に水素結合を形成しながら炭素-炭素結合形成が進行していることなどが示唆された。本成果は学術誌に投稿中である。 (2)O-モノアシル酒石酸を触媒として用い、ジボロンのエノンへの不斉共役付加を検討した結果、中程度の収率およびエナンチオ選択性で、β-ボリルケトンを合成することができた。有機分子触媒による不斉触媒化の例はこれまで2例しか知られておらず、想定している反応機構も異なることから、現在も検討を続けている。 (3)触媒活性およびエナンチオ選択性の向上を目指して、O-モノアシル酒石酸触媒に導入するアシル基について系統的な検討を続けている。その結果、まだ選択性を向上するのには至っていないが、ベンゾイル基のオルト位にハロゲンを導入すると触媒活性が大きく向上するなど興味深い知見が得られている。 以上で3年間の本助成は終了するが、引き続き検討を行う計画である。
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Research Products
(2 results)