2013 Fiscal Year Annual Research Report
生理活性物質汎用合成を指向した新規鉄塩触媒高効率不斉反応系の開発
Project/Area Number |
23590011
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松永 浩文 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 准教授 (10274713)
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Keywords | 鉄 / 触媒 / エポキシ化 / 酸化 / 1,2-ジアミン / キラル合成子 / 生理活性物質 / 配位子 |
Research Abstract |
本研究では、安価且つ低毒性の鉄塩を触媒とした効率良い不斉反応系の開発を目的とした。即ち、鉄塩を利用した触媒的新規エポキシ化反応の開発並びにこれら知見を基にした2-イミダゾロンの不斉エポキシ化を経由した1,2-ジアミン類キラル合成子の高効率大量合成及び応用展開、更には新規反応系の開拓を目指した。その結果、以下の新知見が得られた: 1)配座固定屋根付きcis-1,2-ジアミン・鉄塩・ジピコリン酸の3成分触媒系で過酸化水素によるエポキシ化を検討したところ、trans-スチルベンのエポキシ化において文献既知のtrans-1,2-ジアミン骨格以上に高いエナンチオ選択性(40% ee)を与える事を見出した。 2)窒素部位に不斉補助剤としてアポカンファンカルボニル基を導入したキラル2-イミダゾロンの鉄塩―過酸化水素によるエポキシ化を検討したところ、最高94% deの極めて高いジアステレオ選択性で、エポキシ体経由で生成したと考えられる、1,2-ジアミン類のキラル合成子である4-アルコキシ-5-ヒドロキシ体(DMIm)が収率良く得られる事を明らかにした。 3)別途合成したFe(III)-ジピコリン酸錯体と過酸化水素・尿素錯体によるN-benzoly-2-イミダゾロンの酸化反応を行なった所、添加するアミンの種類及び等量に依存するもののDMImのラセミ体を収率良く合成した。本ラセミ体は2つの窒素位に光学分割剤MAC基及び2-mesitylenesulfonyl基を導入する事で光学分割が容易となり、キラルDMImの両体掌体の汎用合成に成功した。 4)配座固定屋根付きcis-1,2-ジアミン由来含窒素複素環カルベン(NHC)-鉄錯体の有用性検証の準備段階として屋根型NHC-銅錯体の反応性を検討したところ、アリル位アリール化反応に於いて従前とは異なり極めて高いγ位選択性を示す事を明らかにした。
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