2011 Fiscal Year Research-status Report
水素結合相互作用を駆使する環境調和的エンーインメタセシス反応の選択性制御
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23590012
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
今堀 龍志 熊本大学, 大学院先導機構, 特任助教 (90433515)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | エン-インメタセシス / 水素結合 / タンデム反応 / 選択性制御 |
Research Abstract |
本研究では、環境調和型持続型化学変換プロセスとしてのエン-インメタセシス反応の確立を目的とする。原子効率の高い化学変換であるエン-インメタセシス反応の反応性と選択性を、分子の潜在的性質に起因する分子間相互作用である水素結合相互作用を駆使して制御し、環境調和的に展開する。 これまでの研究から、エン-イン閉環メタセシス反応においてアリルヒドロキシ基の加速効果を見いだし(Tetrahedron Lett. 2008, 48, 265)、反応機構解析からアリルヒドロキシ基によるオレフィン活性化効果が示唆さた(Chem.-Eur. J. 2008, 14, 10762)。このアリルヒドロキシ基のオレフィン活性化効果は、関連する論文(G. S. Forman et al. Organometalics 2005, 24, 4528;A. H. Hoveyda et al. J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 8378)とこれまでの実験結果から、基質アリルヒドロキシ基と第一世代Grubbs触媒(Cl)間の水素結合形成による反応活性14電子Ru錯体の円滑供給に起因すると推定している。以上から、水素結合相互作用を活用するエン-インメタセシス反応の反応性と選択性の制御の展開性が示されており、本研究においてその開発を行う。 双環性化合物を効率的に構築するジエンイン化合物に対する分子内タンデムエン-イン閉環メタセシス反応の方向性をアリルヒドロキシ基の保護脱保護によって切り替え可能であることを明らかにしていたが、その適用範囲の解明を行った。水素結合形成に干渉し得るヘテロ原子(酸素原子)を含む反応基質に対しても水素結合制御の方向選択性制御が実現可能であることが明らかとなった。現在、保護脱保護による制御ではなく、添加剤による水素結合制御を基盤とする反応の開発を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ジエンイン化合物の合成が計画どおりに進まない、あるいは合成した場合においてもジアステレオマーを分離できず正確な反応選択性を解析出来ない等の問題が発生し、実験結果として利用できるデータの収集が遅れている。ただ、予想どおりの結果が発現されることは確認しており、本質的には研究は大きく推進している。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で実験データ収集が計画より少し遅れているため、実験を担当する人員を増やし対応する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
人員増強に伴い予想される研究費の増加は、繰り越した研究費を当てる。次年度の請求研究費は当初の予定どおりとする。
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Research Products
(2 results)