2012 Fiscal Year Research-status Report
水素結合相互作用を駆使する環境調和的エンーインメタセシス反応の選択性制御
Project/Area Number |
23590012
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
今堀 龍志 熊本大学, 大学院先導機構, 特任助教 (90433515)
|
Keywords | エン-インメタセシス |
Research Abstract |
本研究では、環境調和型持続型化学変換プロセスとしてのエン-インメタセシス反応の確立を目的としている。原子効率の高い化学変換であるエン-インメタセシス反応の反応性と選択性を、分子の潜在的性質に起因する分子間相互作用である水素結合相互作用を駆使して制御し、環境調和的に展開する。 これまでの研究から、エン-イン閉環メタセシス反応においてアリルヒドロキシ基の加速効果を見いだし、反応機構解析からアリルヒドロキシ基によるオレフィン活性化効果が示唆された。このアリルヒドロキシ基のオレフィン活性化効果は、関連する論文(G. S. Forman et al. Organometalics 2005, 24, 4528;A. H. Hoveydaet al. J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 8378)とこれまでの実験結果から、基質アリルヒドロキシ基と第一世代Grubbs触媒の塩素原子間の水素結合形成による反応活性14電子Ru錯体の円滑供給に起因すると推定している。以上から、水素結合相互作用を活用するエン-インメタセシス反応の反応性と選択性の制御の展開性が示されており、本研究においてその開発を行った。 双環性化合物を効率的に構築するジエンイン化合物に対する分子内タンデムエン-イン閉環メタセシス反応の方向性をアリルヒドロキシ基の保護脱保護によって切り替え可能であることを明らかにしていたが、その適用範囲の解明した。水素結合形成に干渉し得るヘテロ原子(酸素原子、窒素原子)を含む反応基質に対しても水素結合制御の方向選択性制御が実現可能であることが明らかとなった。 また、想定する基質-触媒間の水素結合相互作用は、基質水酸基の保護脱保護による制御だけではなく、水素結合相互作用に干渉する添加剤によっても制御可能であると考えられ、現在、添加剤による制御を試みている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ジエンイン化合物の合成が計画どおりに進まず、適用範囲の解明が遅れたため、結果的に当初の計画にある選択性制御の進化が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
適用範囲の解明が当初の計画から遅れたが、本年度の研究でほぼ完了した。予想どおりの選択性制御が可能であることが確認され、今後、実験担当者を増員して選択性制御の進化を進める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
エン-インメタセシス反応の水素結合相互作用を活用する選択性制御を更に進めるために、有機合成試薬、分析用試薬、研究備品等を購入する。また、遅れた進行状況を取り戻すために、実験担当者を増員して選択性制御の進化を進めるため、薬品使用量が増加、分析用試薬・備品の必要量も増えることが予想される。これらにかかる支出を次年度未使用額で賄う予定である。
|
Research Products
(12 results)