2014 Fiscal Year Research-status Report
ケモエンザイマティック合成による高水溶性タキソール誘導体の開発とその応用
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23590013
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
下田 恵 大分大学, 医学部, 准教授 (40284153)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
高い水溶性を持つタキソール誘導体の創製の検討を行った。ケモエンザイマティック合成において、化合物の水溶性を高めるためのオリゴ糖鎖を開発する反応を新たに検討することにした。今年度、生体触媒として使用した酵素は、グルコシド加水分解反応を触媒し、逆加水分解反応である、配糖化反応を行うことが報告されている、市販の酵素である微生物由来のグルコシダーゼを用いた。反応工程を簡略化することを目的として、糖供与体を添加しない糖鎖合成法を開発した。予備実験として、モデル化合物を利用する糖鎖合成研究を行った。グルコシダーゼを含む反応溶液中に基質となるモデル化合物である単糖配糖体を添加して、インキュベートを行った。反応の終了は液体クロマトグラフィーにより決定した。反応溶液を加熱処理することにより、合成に使用したグルコシダーゼを失活させ、遠心処理を行った。反応溶液に残存する酵素を、シリカゲルショートカラムを通して酵素を除去したのちに凍結乾燥を行った。凍結乾燥の後、水を添加して反応生成物を溶解させ、有機溶媒と水で分配した。変換生成物を分取HPLCにより単離・精製した後に、スペクトル測定により構造解析を行った。変換反応の経時的追跡は、上記と同様にインキュベートさせた複数の反応溶液について、一定時間ごとに反応溶液から反応物を抽出することにより行った。生成物の相対量は、抽出物の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析により求めた。その結果、生成物として、グルコースが1,4結合した二糖配糖体が生成していることが分かった。今回使用した微生物由来のグルコシダーゼによる二糖配糖化反応では、糖供与体を添加しなくても、これまでに検討したシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼと同様に、二糖配糖体を結合した高水溶性タキソール誘導体を合成するため、有効に利用できることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ケモエンザイマティック合成を行う上で、化合物の水溶性を向上させるため必要な糖鎖の合成法の検討を行った。高水溶性タキソール誘導体を開発するため、二糖を結合させることを検討中であるが、糖鎖の合成に今回は微生物由来のグルコシダーゼによる、糖供与体を添加しない簡便な糖鎖合成法の開発の検討を行った。その結果、二糖配糖体の簡便な合成反応を開発できた。このことは、ケモエンザイマティック合成法を発展させる成果であるため、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、高水溶性タキソール誘導体の創製を行うためのケモエンザイマティック合成法の開発の展開と、誘導体の合成、高水溶性タキソール誘導体の水溶性の解析へと展開していく。ケモエンザイマティック合成法の展開として、その他の糖鎖を合成する能力がある植物の培養細胞およびグリコシダーゼなどの糖添加反応を行う酵素を生体触媒として使用して、二糖オリゴ糖を結合させる反応を開発する。
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Causes of Carryover |
次年度にかけて、高水溶性タキソール誘導体の合成と機能解析を継続して実施するため、次年度に使用する予定の研究費が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
生じた次年度使用額と合わせて、誘導体の水溶性の解析を行い計画を遂行していく。高水溶性タキソール誘導体の合成に必要な生体触媒および反応試薬、植物培養細胞培養試薬、高速液体クロマトグラフィー用有機溶媒の購入に研究費を使用する。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Synthesis of glycosides of resveratrol, pterostilbene, and piceatannol, and their anti-oxidant, anti-allergic, and neuroprotective activities.2014
Author(s)
D. Sato, N. Shimizu, Y. Shimizu, M. Akagi, Y. Eshita, S. Ozaki, N. Nakajima, K. Ishihara, N. Masuoka, H. Hamada, K. Shimoda, N. Kubota
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Journal Title
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
Volume: 78
Pages: 1123-1128
Peer Reviewed
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