2015 Fiscal Year Annual Research Report
ケモエンザイマティック合成による高水溶性タキソール誘導体の開発とその応用
Project/Area Number |
23590013
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
下田 恵 大分大学, 医学部, 准教授 (40284153)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 有機合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗癌剤の水溶性を向上させることを目的として、本年度は、タキサン系の抗癌剤に、スペーサーを介して、グリコシドを結合させた、高水溶性の誘導体を、ケモエンザイマティック合成法により、合成を検討した。まず、抗癌剤に結合させるスペーサー部分に、先にグリコシドをエーテル結合させるための、酵素的な合成手法の開発を行った。合成に使用する酵素として、市販のラクターゼを用い、糖供与体としてラクトースを使用して、グリコシドスペーサーの調製を行った。酵素は35℃において、加水分解反応と比較して、高い糖転移反応を触媒することが明らかになった。この反応条件により、スペーサーへのラクトースからの糖転移反応を行い、グリコシル化された生成物を得た。次に、グリコシドスペーサーが持つ水酸基の保護の為、DMF中で、ベンジルブロマイドとの反応により、ベンジル化したグリコシドスペーサーを得た。一方の抗癌剤は、ジクロロメタン中で、TESClと反応させることにより、2'位をTES基で保護した。このベンジル化したグリコシドスペーサーと、2'-TES抗がん剤を、ジクロロメタン中で、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン存在下、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩により、カップリング反応を行った。カップリング生成物の保護基の除去の為、Pd-ブラックを使用する、還元的脱保護を行うことにより、ケモエンザイマティック合成法による目的の高水溶性の抗癌剤誘導体の合成に成功した。
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