2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23590014
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
中村 精一 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (90261320)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | シラシロシドE-1 / サポニン / 抗腫瘍活性 / Ireland-Claisen転位 / 二連続第四級不斉中心 / いす形遷移状態 / C20位メチル基 |
Research Abstract |
抗腫瘍性サポニン・シラシロシドE-1の全合成に向け、二連続第四級不斉中心の一段階構築を鍵工程とするCDE環部の合成を試みた。はじめに、CE環部を予め持つエステル基質をL-グルタミン酸および3-メチル-2-シクロヘキセノンから調製し、Ireland-Claisen転位を試みた。塩基としてLDA、シリル化剤としてTMSClを用いたところ反応は円滑に進行し、期待どおり13位の立体化学が完全に制御された単一異性体のみが得られた。しかし、17位の立体配置は望みとしないものであり、反応条件を変えるだけでは望みの立体異性体を得ることはできなかった。遷移状態を解析した結果、C環部と20位メチル基の間の立体反発を避けるため、通常は不利な舟形遷移状態を経て反応が進行したことが示唆された。そこで、この立体反発を解消するために20位をエキソメチレンとすることを考え、文献既知のラクトンを出発原料として11工程でβ,γ-不飽和エステルを合成した。この化合物に対してIreland-Claisen転位を行ったところ、反応は期待どおりいす形遷移状態を経て進行し、望みの立体化学を持つγ,δ-不飽和カルボン酸が単一異性体として得られることが分かった。ヨウ素を作用させた後脱ヨウ素化して得られる三環性ラクトンをそのまま接触還元した場合、望みとしない立体異性体が主生成物となったが、ラクトンを還元してラクトールとしてから接触還元すると、望みの異性体が2.5:1の立体選択性で優先して得られることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
原因は不明であるが中間体となるテトラヒドロフランカルボン酸が不安定であり、エステル化反応は収率に問題がある上、再現性に乏しい。そのため、当初の合成計画を変更する必要が生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、テトラヒドロフランカルボン酸を中間体としない経路によるCDE環ユニットの合成法を開発する。並行してA環ユニットの合成を行い、カップリングを経てアグリコン部の合成を完了する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を行う上で必要な試薬・溶媒等の消耗品購入費、研究により生じる産業廃棄物の処理費、学会発表のための旅費などとして使用する予定である。
|
Research Products
(2 results)