2012 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ波照射環形成及び環開裂反応を基盤とした生理活性分子の合成研究
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23590021
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
高取 和彦 明治薬科大学, 薬学部, 講師 (30231393)
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Keywords | 環開裂反応 / 環化反応 / マイクロ波加熱 / ザラゴジン酸 / ホマクチン / タキサン |
Research Abstract |
本年度は主にザラゴジン酸類の合成とホマクチン類の合成について検討した。 ザラゴジン酸類の合成では、フランジメタノールジベンジルエーテルとアセチレンジカルボン酸ジメチルとのマイクロ波加熱Diles-Alder反応によって得た対称オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン誘導体からエポキシドの開環を伴うラクトン形成によって非対称化を行い、続くDIBAL還元でエステル部を部分還元した。これをメシル化後、Grobフラグメンテーション反応に付し、更に生じたケトンの還元、mCPBAのよるアセタール化でコア部の骨格を形成させた。3位はエステル形成後に異性化させることで天然物と同じ立体配置に反転することができた。残る2つの第一級水酸基を段階的にカルボン酸まで酸化することで、酸化段階まで含めたザラゴジン酸コア部の完全な合成に成功した。また1'位アルキル側鎖の合成を完了した。 ホマクチン類の合成では、D-グリセルアルデヒドから得たα,βー不飽和エステルと(-)-カルボン誘導体との連続Michael反応によって立体選択的に光学活性ビシクロ[2.2.2]オクタン誘導体を得た。このイソプロペニル基を立体反転すると共に第三級水酸基を構築して鍵中間体を合成した。10員環構築に向けて側鎖伸長後に閉環メタシス反応を検討したが、オレフィン部のかさ高さのために分子内反応は進行せず、二量体を与えた。このため、鍵中間体からアリルエーテル部を増炭させた化合物を調製し、リレーメタセシスを検討した。反応は進行し、アリルエーテル部を失った化合物が新たに生成したことから、目的とする10員環が形成できた可能性がある。現在、この化合物の構造を確認中である。また、ラジカル環化を検討するために、ビスキサンタートを合成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ザラゴジン酸類の合成において、もっとも困難が予想されたコア部の完全合成に成功した。特に連続した第一級水酸基3つをトリカルボン酸まで酸化するのには、ヘミアセタールの生成などの副反応が起こり得ると予想されたが、これは段階的な酸化を行なうことで着実に酸化させることができた。また、1'位アルキル側鎖の合成に成功した。もっとも困難が予想されたなコア部の完全合成に成功したことから、ザラゴジン酸合成では研究が大きく進展し、達成度は75%である。 ホマクチン類の合成に関しては、鍵中間体となるビシクロ[2.2.2]オクタン誘導体を立体選択的に合成することができた。ここからの側鎖伸長と続く閉環反応による10員環形成に関しては、リレーメタセシス反応を検討した。現在、新たに得られた生成物の構造を確認しているが、重要中間体である10員環化合物が形成された可能性がある。既に、ホマクチン6員環部の官能基は立体選択的に導入できているので、達成度は50%程度である。 タキソール合成に関しては、現在のところモデル実験に留まっており、達成度は25%程度である。
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Strategy for Future Research Activity |
ザラゴジン酸類の合成においては、コア部のラセミ合成が完了したので、光学活性体の合成を行なう必要がある。酵素を用いた不斉反応、あるいはキラルブレンステッド酸を用いた不斉非対称化反応を用いて光学活性体を調製する。1'位側鎖とコア部の連結には鈴木ー宮浦カップリング反応を利用する予定である。更に、アシル側鎖を調製、結合させることでザラゴジン酸の全合成を達成する。また、途中の中間体を用いてアナログ合成を行なう予定である。 ホマクチン合成では、まず10員環を構築する必要がある。現在、メタセシス体の構造を確認中のであり、10員環が形成されていれば、フラグメンテーション反応を行なう。10員環が形成されていない場合は、NHK反応やヨウ化サマリウムを用いたMcMurryカップリングあるいは、ピナコールカップリングを用いて10員環構築を行なう。また、別法として、ラジカル環化による6員環形成と続くマイクロ波加熱Cope転位による環拡大も検討する。10環構築 後はフラグメンテーション反応によるホマクチン骨格の形成、天然ホマクチン類への官能基変換を行い、ホマクチンDあるいはHの合成 を目指す。 タキサン合成ではモデル化合物を用いたマイクロ波加熱Cope-Claisen転位によるAB環部の合成を検討する。続いてモデル合成に従って 、官能基を導入した原料からのAB部構築、更にC環形成を行なう。 各合成とも、加熱反応の場合はマイクロ波加熱法を効果的に利用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は、合成原料となる各種有機化合物、反応試薬、化合物の精製に用いるシリカゲルや実験に用いるガラス器具類などの消耗品の 購入に用いる。
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Research Products
(5 results)