2011 Fiscal Year Research-status Report
イソセレノシアナートおよび関連化合物を用いる有用カルコゲン含有複素環合成
Project/Area Number |
23590023
|
Research Institution | Hokuriku University |
Principal Investigator |
指田 春喜 北陸大学, 薬学部, 教授 (70102746)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
要 衛 北陸大学, 薬学部, 助教 (70224582)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | イソセレノシアナート / 含セレン複素環 / カルコゲン元素 / 三重結合 / 付加・環化反応 / ベンゾセレナゾール / セレナジン / ベンゾセレノフェン |
Research Abstract |
1.三重結合を有する求核基質(NuH)にイソセレノシアナートを反応させることにより,生成するセレノール類の分子内三重結合へのタンデム付加・環化を基盤とする各種複素環合成のうち,すでに検討済みであったアミン類(Nu= NH)に引き続き,フェノール類(Nu= O)につき検討した。その結果,新規な骨格であるセレナクロマン類の合成に成功すると共に反応溶媒による環化様式の違いを見出した(23年度計画-1,Heterocycles, 投稿中)。2.上記反応戦略において,求核基質をカルバニオンにすることにより,ベンゾ[c]セレノフェン類の簡便な合成に成功した(23年度計画-2,Tetrahedron Lett., 2011, 52, 3279-3282.)。3.上記反応戦略の求核基質内の三重結合をハライドに替えることにより,ベンゾセレナゾール類の一般合成法を確立した(23年度計画-3,Tetrahedron Lett., 2011, 52, 505-508.)。さらにハライドの種類の違いにより環化様式に違いがあることを明らかにした。4.極最近,発見された抗生物質であるピリドベンゾチアジン(PD404182)のセレンアナログを上記反応戦略の利用により一部成功し,類縁体の合成を展開中である(23年度計画-4)。特許出願予定。5.本合成戦略を硫黄アナログに展開することにより,ベンゾチアゾール類の簡便な一工程一般合成法を確立した(23年度計画-5,Heterocycles, 2012, 84, 669-682.)。6.分子内に三重結合を有するイソチアシアナート(硫黄アナログ)と求核剤アミン類との銀触媒タンデム付加・環化反応により,複素環合成を行い,用いるアミン類の級数により,環化様式に違いがあることを明らかにした(Tetrahedron Lett., 2012, 53, 748-751)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的は,セレン源としてイソセレノシアナートを用いることにより含セレン(カルコゲン)複素環化合物の合成を行うものであり,具体的項目として,1)カルコゲン複素環合成へのイソセレノシアナートおよび関連化合物の利用,2)カルコゲノール類のタンデム型環化による多環複素環の合成3)カルコゲニド類の環化反応によるカルコゲニウム塩,および二置換体複素環の合成である。23年度の研究実施計画では,それを達成するべく5項目をあげ,国際学会を含め専門学会・シンポジウムでの発表以外に,「研究実績の概要」に記したように5編の論文(1編は投稿審査中)を公表することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
基本的には,「研究実施計画の24年度」に記した通りに実施する。しかしながら,本研究目的の達成とその実施に必須である試薬類の製造中止に遭遇し,その研究推進に大きな支障をきたした。具体的には,アセチレン類(メチルアセチレン,1-シクロヘキセニルアセチレン)の入手が困難となった。現在,国外からの輸入と自らの合成などの方策を模索中である。23年度当初は,購入を予定していたこれらのアセチレン類が購入できず,「次年度に使用する予定の研究費がある場合」に該当することになってしまった。研究成果の公表として,速報誌への投稿と掲載にはこぎ着けることができたが,今後詳報の公表までには,研究の目的のカルコゲン含有複素環の合成のために当研究課題申請者が開発した合成法の一般性を検証するべく,上記アセチレン類の入手は必須である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記「研究の推進」を行うべく,実験に必要な上記アセチレン類の入手を含めた試薬類,ガラス器具などの消耗品の購入,および研究成果公表の学会出張経費,並びに論文投稿時の英文添削・校閲などの費用に充当する。
|
Research Products
(13 results)