2011 Fiscal Year Research-status Report
触媒的三級グリコール開裂反応を用いた有機彫刻法による炭素骨格新規構築法の開発
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23590024
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Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
桐原 正之 静岡理工科大学, 理工学部, 准教授 (40262539)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 環境調和型グリコール開裂 / 環化反応 / 有機彫刻 |
Research Abstract |
まず出発物質である、各種1,2-ジシリロキシシクロアルケンの合成を文献に従って行った。合成法としては、クロロトリメチルシラン存在下に、鎖状ジエステルを金属ナトリウムさせ、アシロイン縮合させる方法を用いた。現在、ここで合成した各種1,2-ジシリロキシシクロアルケンと、各種アルケンとの[2+2]光環化反応を行い、三級グリコール体の合成を行っているところである。また、逆電子要求性Diels-Alder反応や、1,3-双極付加反応も順次検討中である。ベンジルをはじめとする各種の1,2-ジケトンの二つのカルボニルに対し、プロパルギル基をそれぞれ求核付加させて三級ジオールとし、これらの二つのアルキンとジフェニルアセチレンとを、Wilkinson触媒を用いた[2+2+2]型環化反応させてベンゼン環を形成させる検討を行った。残念ながら、現在までのところ環化には成功していない。今後は[2+2+2]型環化反応の触媒や反応条件を検討し、[2+2+2]型環化反応を進行させる条件を見出すことを目標にしている。また、1,2-ジケトンの一つのカルボニルに対し、まずアリル基を導入し、次に残りのカルボニルに対しプロパルギル基を求核付加させて三級ジオールとした。この化合物に対して、コバルト化合物を用いるPauson-Khand反応により、環化反応を行ったが、現在までのところ環化には成功していない。今後は、環化反応実現を目指して、反応条件を検討していく予定である。環境調和型グリコール開裂反応に関しては、グリコールに対して、鉄化合物-ヨウ化物イオン触媒存在下に過酸化水素を反応させると開裂反応が進行し、低収率ながら対応するカルボニルが生成することを見出すことができた。現在、高収率で目的物が得られる反応条件を見出すべく検討を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1,2-ジシリロキシシクロアルケンの環化反応に関しては、文献に従った方法で原料の1,2-ジシリロキシシクロアルケンの合成を行った。しかしながら、文献の方法を正確に追試することに手こずり、充分な量の原料を確保するのに予想外の時間がかかってしまった。そのため、環化反応の検討にとりかかるのがかなり遅れてしまった。現在は順調に原料合成ができるようになったので、遅れを取り戻すべく鋭意検討中である。鎖状1,2-ジケトンから合成した各種三級ジオールの環化反応に関しても、1,2-ジケトンに対する、アリル基やプロパルギル基の導入反応の検討に時間がかかり、目的の各種三級ジオールを大量に合成するのが遅れてしまった。ようやく、環化反応の検討を行うことができたが、今のところ目的の環化反応には成功していない。以上の二項目に関しては、残念ながら達成度が低いと評価せざるを得ない。一方、環境調和型グリコール開裂法開発に関しては、鉄化合物-ヨウ化物イオン触媒存在下に過酸化水素を反応させる方法を見出すことができたので、目的は達成できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1,2-ジシリロキシシクロアルケンの環化反応を検討していくが、それらの中でも文献既知であるエノン類との[2+2]光環化反応をまず行い、得られた三級グリコール誘導体の開裂反応を検討する。開裂反応検討と平行して、逆電子要求性Diels-Alder反応や1,3-双極付加反応を順次検討していく 鎖状1,2-ジケトンから合成した各種三級ジオールの環化反応も検討していくが、鎖状化合物であるが故に、環化反応に際して反応点が近づきにくいため、環化反応がおこりにくいのではないかと考えられる。そこで環状1,2-ジケトンから各種三級ジオールを合成し、環化反応を検討していく。この場合は鎖状のものに比べて分子運動の自由度が小さく、反応点が近づきやすくなることが予想されるので、より環化反応がおこりやすいのではないかと考えている。なお環状1,2-ジケトンは、鎖状ジエステルを金属ナトリウムさせ、アシロイン縮合させて環状α-ヒドロキシケトンとし、これにバナジウム触媒を用いた酸素酸化を適用すれば合成できると考えている。 また、鎖状1,2-ジケトンの場合の場合も環状1,2-ジケトンの場合も、これらにアリル基を二つ導入した三級ジオールの、Grubbs触媒を用いた閉環メタセシスは容易に進行することが既に知られている。そこで文献に従って環状三級ジオールを合成し、それらの開裂反応を検討する予定である。 環境調和型グリコール開裂法開発に関しては、過酸化水素を用いた反応をさらに追求していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験に必要な器具はそろっているので、本年度は全て消耗品購入にあて、反応用試薬、反応溶媒、カラムクロマトグラフィー用シリカゲル、NMR測定用D化溶媒、ガラス器具等実験器具を購入する予定である。
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