2012 Fiscal Year Research-status Report
触媒的三級グリコール開裂反応を用いた有機彫刻法による炭素骨格新規構築法の開発
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23590024
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Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
桐原 正之 静岡理工科大学, 理工学部, 教授 (40262539)
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Keywords | 開裂反応 / グリコール開裂 / 中員環合成 / 大員環合成 / 環境調和型反応 / 超原子価ヨウ素 / 酸素酸化 / バナジウム |
Research Abstract |
文献に従って、クロロトリメチルシラン存在下に、鎖状ジエステルを金属ナトリウムさせてアシロイン縮合させ各種1,2-ジシリロキシシクロアルケンを合成した。さらに、これらと、各種アルケンとの[2+2]光環化反応を行い、三級グリコール体の合成を行った。現在これらの三級グリコールの開裂を検討中である。一方、1,2-ジシリロキシシクロアルケンと各種電子欠乏性ジエン類との、逆電子要求型Diels-Alder反応を検討したが、全く反応が進行せず、目的の環化付加体を得るには至っていない。 また、文献に従って1,2-シクロヘキサジオンの二つのカルボニルに対し、アリル基を導入した後、閉環メタセシス反応を行って二環性の三級グリコールを合成した。これに対して、バナジウム触媒を用いた酸素酸化によるグリコール開裂反応を試みたが、残念ながら全く反応は進行しなかった。現在バナジウム触媒の検討を行っているが、反応が進行する条件を見出すには至っていない。そこで、他の方法で二環性三級グリコールの開裂を行うことを検討した。その結果、超原子価ヨウ素試薬を用いると二環性三級グリコールの開裂を行うことができることを見出した。超原子価ヨウ素試薬は毒性が低いので、これも環境調和型の反応である。現在のところ、超原子価ヨウ素試薬は化学量論量必要であるので、触媒反応化の検討を行っている。 各種の1,2-ジケトンの二つのカルボニルに対し、プロパルギル基をそれぞれ求核付加させて三級ジオールとし、これにアルキンとを[2+2+2]型環化反応させる検討を行っている。また、1,2-ジケトンの一つのカルボニルに対し、まずアリル基を導入し、次に残りのカルボニルに対しプロパルギル基を求核付加させて三級ジオールとした。この化合物に対して、Pauson-Khand反応をさせて環化体を合成する検討も行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二環性三級グリコールの合成としては、文献既知の、1,2-ジシリロキシシクロアルケンの[2+2]型光環化反応と、閉環メタセシスを用いる反応によって達成することができた。残念ながら、これらの二環性三級グリコールのバナジウム触媒を用いた酸素酸化による開裂反応はうまく進行しなかったが、毒性の低い超原子化ヨウ素化合物を酸化剤として用いるとグリコール開裂させることができた。これにより、環境調和型試薬だけを用いた、二環性三級グリコールを経る中大員環化合物の合成を達成することができた。 また、1,2-ジケトンから誘導した各種化合物の、環化反応を現在検討中であるが、アルキンとを[2+2+2]型環化反応では、カチオン性ロジウム錯体を用いると反応が進行することがわかってきたので、目的は達成されたと考えていえる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、二環性三級グリコールの開裂反応としては、超原子価ヨウ素化合物を用いた反応例を増やして、基質一般性を確立させる。またこの開裂反応の触媒反応化を検討していく。二環性三級グリコールの合成反応としては、既知の、1,2-ジシリロキシシクロアルケンの [2+2]光環化反応と、閉環メタセシスを用いる反応を用いる。さらに1,2-ジケトンから誘導した各種化合物の、アルキンとの[2+2+2]型環化反応による二環性三級グリコールの合成反応における反応条件をさらに詳細に検討し、触媒等の最適条件を見出していく予定である。 また、1,2-ジケトンから誘導した各種化合物に対して、様々な分子内環化を検討していく予定である。 環境調和型グリコール開裂法開発に関しては、過酸化水素等の過酸化物共酸化剤として用いた反応を追求していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験に必要な器具はそろっているので、本年度は全て消耗品購入にあて、反応用試薬、反応溶媒、カラムクロマトグラフィー用シリカゲル、NMR測定用D化溶媒、ガラス器具等実験器具を購入する予定である。
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