2011 Fiscal Year Research-status Report
ビナフチル型CDプローブを利用した実用的絶対配置決定法の開発とその天然物への応用
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23590027
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
細井 信造 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (60209236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝本 之晶 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (90351741)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | CDプローブ / 絶対配置決定 / 円二色性 / ビナフチル / ステロール / 誘起CD |
Research Abstract |
申請者らは、誘起円二色性を基盤とする「誘起CD励起子法」を開発し、キラル二級アルコールおよび一級アミンの絶対配置決定に適用できることを明らかとしてきた。今年度は、3位に水酸基を有する種々のステロールについて、二重結合の位置がCDスペクトルに及ぼす影響について調べた。ステロール類を申請者らが開発したビナフチル型試薬と反応させ、得られた誘導体についてCDスペクトルを測定したところ、2つのタイプ(Type A, B)に大別できることが分かった。すなわち、Type Aでは240nm付近のUV吸収領域で分裂型CDを示した(3S : 正 ; 3R : 負)のに対し、Type Bでは210 nm および240 nm 付近に2つのCDバンドを示した。Type Bでは分子内に存在する5位オレフィン発色団とビナフチル発色団との相互作用が少なからず影響していると考え、基質中に存在する全てのオレフィン部を接触還元後、誘導体化した。その結果、還元前のCDスペクトルと大きく異なり、検討した全ての基質において、Type Aと同様の分裂型CDを示した。さらに3位以外に複数個の水酸基を有するコール酸類(3位はα配置(R))についても、同様に誘導体化したところ、3位のみ選択的に誘導体化され、何れも負の分裂型CDを示した。以上の結果は、キラル2級アルコール類の検討結果と一致し、ステロール類においても3位水酸基の絶対配置を一義的に決定できることを示すものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ステロール類の5位の二重結合がCDスペクトルに大きな影響を与えることが明らかとなったが、8位、12位、22位および24位の二重結合については、選択的還元による試料の調製がうまくいっていない。さらにコール酸のような3位以外の位置に水酸基を有するステロールについては、CDプローブの選択的導入が今のところうまくいっていないので水酸基の位置のCDに及ぼす影響についてはまだ検討できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度達成できなかった点について更に検討を加えると同時に、キラル2級アルコールおよびキラルアミンにビナフチル型CDプローブを導入した誘導体について微量分析の可能性について調べる。すなわち、光学純度に影響されることなく、「誘起CD励起子法」が適用できるかどうかを確かめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画通り使用する予定である。
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Research Products
(1 results)