2012 Fiscal Year Research-status Report
不飽和結合の特性を活用する多成分連続反応の開発と創薬への展開
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23590032
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
柳田 玲子 広島国際大学, 薬学部, 教授 (80239821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 典子 広島国際大学, 薬学部, 助教 (40535580)
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Keywords | 炭素ー炭素三重結合 / アルキン / エニルアセテート / フラン / ハロアジド化 / ニトリル / 三重結合の切断 / アジリン |
Research Abstract |
1. アルキニルベンゼンの位置および立体選択的付加反応を利用し,(Z)-および(E)-enynyl acetateをそれぞれ合成した.これを用いてN-ハロスクシンイミドによる環化反応を検討したところ,(Z)-および(E)-enynyl acetateのどちらの異性体からも,共通の中間体としてアレノンを経由して,フランが得られることを見いだした.フラン合成を検討している際,反応時間が長い場合TLC上で中間体と思われるスポットが観察された.そこで異性体である(Z)-および(E)-enynyl acetateの反応を短時間で停止し中間体の単離を試みたところ,どちらからも中間体としてアレノンが得られた.このことから,エニルアセテートを経る多置換フラン誘導体のワンホポットタンデム反応の開発に初めて成功したと考えている. 2. 炭素-炭素三重結合の切断は大変興味深い反応であり,最近の有機化学の分野では特に報告例が増している.現在までに,金属触媒を利用したいくつかの炭素-炭素三重結合切断反応が報告されているが,金属触媒を用いない三重結合切断反応は,三重結合が強固な強い結合であるため困難と考えられてきた.我々はこれまでに開拓してきた三重結合に対する位置および立体選択的付加反応の研究の一環として,NISとTMSN3による三重結合のコハロゲネーション反応を検討してきた.その過程で,付加反応により生成すると考えられるアルケニルイオドアジド体と,それ由来のアジリン体を経る,炭素-炭素三重結合の切断反応により2種類のニトリル体が得られることを見出すことに初めて成功した.この反応は金属触媒を用いないところがこれまでの報告例と異なり,その点において新規の反応と考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は予定通りには進行しているわけではないが,可能な限り計画に沿った研究になるように修正を加えている.そのため達成度としては順調と考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
我々が見出した炭素ー炭素三重結合の切断反応は金属触媒が存在しない条件下で進行する,極めて興味が持たれる反応である.三重結合の置換基として芳香族が両方についている化合物では切断反応が円滑に進行するが,芳香族と脂肪族が置換基としてつくと切断反応が鈍くなり,別の反応が優先してくる傾向が見られる.これらに関して詳細に検討する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究室内の実験環境は未だ整っているとは言い難い状況のため,その整備が急務である.卒業研究生の人数が多いため,研究室で使用する精密オイルバス,不均一系反応に威力を発揮するスーパースターラー等の備品が不足しているので購入を検討する.オゾン発生装置も必要なため購入を検討している.
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