2012 Fiscal Year Research-status Report
神経栄養因子増強活性天然物6α,7αおよび7α,20-ジヒドロキシアノネンの合成
Project/Area Number |
23590035
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
江角 朋之 徳島文理大学, 薬学部, 講師 (50315264)
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Keywords | テトラアルキル四級炭素 / オールカーボン四級炭素 / 不斉合成 / 不斉1,4-付加反応 / 不斉α-アルキル化 / 不斉アルドール / 連続不斉中心 / 天然物合成 |
Research Abstract |
テトラアルキル不斉四級炭素と他の不斉炭素が隣接する構造単位は多くの天然有機化合物に含まれており,その立体選択的かつ効率的な構築法の開発は合成化学的に重要な課題の一つである.しかしながら,現在のところ汎用性のある方法はあまり知られていない.今回,申請者は 2 の α-アルキル化が高いジアステレオ選択性で進行することを見いだし,さらに,(Z)-α,β-不飽和カルボン酸誘導体を同様な反応により 3 とは相対配置が異なるアルキル体 6 に導くことに成功した.まずは以前報告した方法1に従い,1,4-付加前駆体 1 を調製した.3-ブチン-1-オールを根岸ヨードメチル化およびTBDPS化により(E)-ヨードアルケンへと変換後,Pd(PPh3)4触媒存在下一酸化炭素挿入を伴うキラルオキサゾリジノンとのカップリングにより 1 を得た.立体選択的に (Z)-ヨードアルケンへと変換し,(2R)-2-フェニルオキサゾリジノンとのカップリングにより 4 を得た.次に 1 をビニル銅錯体との反応に付し,3S : 3R = 95 : 5 で 3 を得た. 同様な条件で 4 を処理したところ,3S : 3R = 9 : 91 で 3 と逆の配置の 6 が優先して得られた.続いて,3をTHF中SHMDSで処理した後,ヨードメタンを加えて反応させたところ,高収率かつ高ジアステレオ選択的に (2R,3S)-配置を有するメチル体 9 が得られた. 同条件下ヨードアリルやヨードベンジルを用いると若干の選択性の低下が見られるものの,まずまずの収率で 10 または 11 が得られた.一方,6 を同条件下ヨードメタンと反応させたところ,3 と相対配置の違う (2S,3S)-体 12 が同程度のジアステレオ選択性で得られた.このことより,3 位の不斉はオキサゾリジノンの不斉誘導に影響を与えないことが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ジヒドロキシアノネン類の合成における最大の鍵となるのが 8,9 位の立体制御である.我々はキラルオキサゾリジノンを不斉補助基とする α,β-不飽和カルボン酸誘導体とビニルまたはアリル銅試薬の 1,4-付加反応が高いジアステレオ選択性で進行し,不斉テトラアルキル四級炭素を構築できることを見いだし,さらに続けて SHMD Sで処理した後,種々のアルキルはライドまたはアルデヒドと反応させることで連続不斉中心を構築できる方法を開発した.これによりジヒドロキシアノネン類の合成における課題の3/2程度を達成できたものと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
上記方法によって得られた中間体の炭素鎖伸長を行った後,分子内ディールス・アルダー反応によってデカリン骨格形成を行い,側鎖部のフラン関係性を行い,全合成を達成する計画である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験に必要な試薬の購入,研究結果発表のための旅費,論文投稿に必要な経費に使用する計画である.
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Research Products
(6 results)