2011 Fiscal Year Research-status Report
核酸系抗生物質caprazamycinの触媒的不斉全合成
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23590037
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Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
渡辺 匠 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所 有機合成研究部, 主席研究員 (80270544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴崎 正勝 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 所長 (30112767)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 有機化学 / 触媒的不斉反応 / 全合成 / 抗結核薬 / 天然有機化合物 |
Research Abstract |
caprazamycinは五十嵐らにより2003年に報告された放線菌由来の核酸系抗生物であり,従来の結核菌のみならず超多剤耐性結核菌XDR-TBに対しても良好な抗菌活性を示すCPZEN-45の前駆体でもある.本研究は,新たな抗XDR-TB剤開発を目指した構造活性相関研究に適用可能なcaprazamycinの効率的な触媒的不斉合成法の確立を目的とした. 23年度はまずcaprazamycinのウリジン部位とジアゼパノン環の接合部に存在する1,2-syn-アミノアルコール部位の立体選択的構築を試みた.所属研究室で開発された触媒的不斉ダイレクトチオアミドアルドール反応を用いた場合では最大8:1の選択性で逆の立体化学を,イソシアノ酢酸エステルを基質としたアルドール反応を用いた場合では最大12:1の選択性で正しい立体化学を有する1,2-syn-アミノアルコール前駆体へと変換された.前者は触媒的不斉反応の系をジアステレオ選択的反応に適用し選択性を劇的に向上させる効果を狙ったが,基質由来の立体識別が優る結果となった.一方,後者は基質に存在するリボースの水酸基の保護基を嵩高いTIPSとすることにより,比較的高い選択性を達成した. 側鎖のβ-ヒドロキシエステル部位のエナンチオ選択的構築には対応する酢酸由来のチオアミドと長鎖脂肪族アルデヒドを基質とした触媒的不斉ダイレクトチオアミドアルドール反応の適用を試み,84% eeの光学収率にて生成物を得ることが出来た. また同じく側鎖に存在する非対称3-メチルグルタル酸ジエステル部位の構築に応用可能な,アルコールを求核剤とした同無水物のエナンチオ選択的開環反応について検討を行った. その結果,所属研究室で開発された二核ニッケル-光学活性シッフ塩基錯体を用いることにより,94% eeの選択性で所望のモノメチルエステルを合成することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたウリジン部位とジアゼパノン環の接合部に存在する1,2-syn-アミノアルコール部位の立体選択的構築は選択性の向上を目指し条件の細部を検討する段階となっている.また,側鎖のβ-ヒドロキシカルボン酸部位についても良好なエナンチオ選択性を達成している.また当初は24年度以降に検討を予定していた側鎖のグルタル酸の不斉非対称化にも既に成功しており,計画をやや上回るペースで順調に研究が進捗していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
ジアゼパノン環内のβ-ヒドロキシアミノ酸部位の立体選択的構築には未着手である.予定に従いanti-選択的触媒的不斉ニトロアルドールの検討を行う.その後,グリコシル化等は既報の方法を参考にルートの開通を優先し,各ステップのブラッシュアップを図る.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品相当の機器類として真空ポンプを購入予定.また,研究体制拡張に伴いエバポレーター一式の購入を検討中.ダイセル社製キラルHPLCカラムの新製品(IF等)を随時購入予定. 研究代表者成果発表(19th International Conference on Organic Synthesis・メルボルン・豪州・6日間)は予定通り,国内学会発表は薬学会年会が首都圏開催となるため旅費は発生しないが,前年度末の札幌開催時の支払いは24年度にずれ込み. 現時点でプロジェクト関連の論文発表1件が確定,更に1件はほぼ確実に見込まれる状況であり,別刷費を支出. その他,器具・試薬等の一般的消耗品の充足に支出予定.
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Research Products
(3 results)