2011 Fiscal Year Research-status Report
臨床応用可能な癌細胞特異的全身投与型siRNAデリバリーシステムの構築
Project/Area Number |
23590045
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
有馬 英俊 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (50260964)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | シクロデキストリン / デンドリマー / PEG化葉酸 / 腫瘍特異的デリバリー / siRNA / 抗がん剤 / 抗腫瘍効果 / 全身デリバリー |
Research Abstract |
平成23年度は、我々が開発した遺伝子・核酸医薬キャリアであるPAMAMデンドリマー/α-シクロデキストリン結合体(α-CDE)に、さらに癌細胞指向性素子であるPEG化葉酸を新たに修飾した癌細胞選択的なsiRNAデリバリーシステムの構築を企図して、Fol-PαCを新規に構築することを目的に検討を行った。まず、デンドリマーの世代数を3とし、PEG化葉酸の置換度の異なる3種のFol-PαCの調製を行い、またそれと並行して、混合物であるFol-PαCの精製品であるsFol-PαCの調製も開始した。その結果、置換度2, 4, 7の3種のFol-PαCsを調製できた。また、sFol-PαCの原料となるα-CDEの精製をHPLCを用いて行った。現在、Fol-PαCの精製条件等について検討中である。次に、RNAi効果を、pGL3ルシフェラーゼ遺伝子安定発現細胞にsiRNAを導入後のルシフェラーゼ活性を指標にRNAi効果を葉酸レセプター(FR)を過剰発現するKB細胞を用いて評価した。その結果、3種のFol-PαCの中で、置換度4のFol-PαC(DSF4)とsiRNAとの複合体が最も高いRNAi効果を示した。また、このRNAi効果ならびに複合体の細胞取込みは、葉酸の添加により低下したことから、本複合体は、FRを介した細胞取り込み後、RNAi効果を誘導することが示唆された。また、Fol-PαC(DSF4)/siRNA複合体の粒子径およびζ電位はチャージ比20において、それぞれ111 nmおよび9.7 mVであり、本複合体はFRを介した細胞内取込みに有利な物性を示すことが示唆された。さらに、Fol-PαC(DSF4)/siRNA複合体のKB細胞に対する細胞障害性は、市販遺伝子導入試薬に比べて極めて低いことが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種置換度のFol-PαCを用いてRNAi効果の検討を行い、PEG化葉酸の至適置換度を見出せたこと、siRNA複合体の優れた物理化学的性質(粒子径、ζ電位)、極めて低い細胞障害性、FRを介した細胞取込みを明らかにできたことは当初の目的を達成している。しかし、当初PEG化葉酸の置換度が整数倍の精製Fol-PαCを用いて、そのsiRNA複合体の物理化学的性質、RNAi効果などを、混合物であるFol-PαCと比較検討を行う予定であったが、その原料となるα-CDEの精製が非常に大変で時間がかかったため、Fol-PαCの精製が遅れているため、おおむね順調な進展と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成 23 年度の検討を踏まえて、平成 24 年度にはまず、予定より遅れているFol-PαCの精製を行う。次に、そのsiRNA複合体を調製し、構造・物理化学的性質・安定性試験を実施する。また、置換度の異なる各種sFol-PαCのRNAi効果の比較検討し、最も高いRNAi効果を示したsFol-PαCを明らかにする。その後、至適な置換度を有するsFol-PαC/ siRNA複合体を用いて、担癌マウスの尾静脈に投与後の抗腫瘍効果について検討を行う。次に得られたsiRNA/sFol-PαC複合体をマウス皮下に投与後のCy-5ラベル化siRNAの体内動態について蛍光HPLCによる定量およびin vivoイメージング装置を用いて評価する。安全性の観点から、siRNA/sFol-PαC複合体をマウスに静脈内投与後の血液生化学検査値や臓器障害性について検討する。さらに、臨床応用に際して必要な化合物の化学的・物理的評価は、構造の最適化されたsFol-PαCを用いて検討を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は11,151円の残額がでたが、研究で使用する試薬等は高額のものが多く、1品を購入するには金額が不足していたため、平成24年度のはじめに試薬代として使用する。また、次年度の研究費の使用予定は次の通りである。【総予算】1,311,151円 【消耗品費】合計1,11,151円 CDE 結合体類調製試薬:211,151円; siRNA 試薬 250,000円; 細胞培養試薬 100,000円;抗体・試薬 100,000円; その他 試薬 100,000円; 細胞培養器具 100,000円; その他 実験器具 100,000円; 実験動物 150,000円【旅費】合計150,000円 国内学会:50,000円;国際学会:100,000円【その他】合計50,000円 研究成果投稿料:50,000円
|
Research Products
(4 results)