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2012 Fiscal Year Research-status Report

多点分子認識ESIラベル化による先天性代謝異常症の新規精密検査法の開発

Research Project

Project/Area Number 23590046
Research InstitutionTokyo University of Science

Principal Investigator

東 達也  東京理科大学, 薬学部, 教授 (90272963)

Keywords先天性代謝異常症 / LC/ESI-MS/MS / ESIラベル化 / 多点分子認識 / ビシナルジオール / s-cis-ジエン / Smith-Lemli-Opitz症候群 / バイオマーカー
Research Abstract

まず,23年度に開発した3-dimethylaminophenylboronic acid(DAPBA)を用いるビシナルジオールステロイド用ESIラベル化の適用拡大を検討した.すなわち,本法をCYP3A4が関わる薬物相互作用の内因性プローブである4β-hydroxycholesterol分析に適用したところ,わずか10 μLの血清で共存物質の妨害を受けることなく,高感度・高選択的な検出が可能であった.また,本ラベル化は,ステロイドホルモン生合成の鍵中間体である20R,22R-dihydroxycholesterolのLC/ESI-MS/MSにも有用であった.このようにDAPBAを用いるラベル化が,ビシナルジオールを有する様々なステロイドバイオマーカーのLC/ESI-MS/MS,すなわち,それらの精密検査に十分な実用性を有することを証明した.
Smith-Lemli-Opitz症候群の診断マーカーである7-dehydrocholesterol(7DHC)については,前年度に4-phenyl-1,2,4-triazoline-3,5-dione(PTAD)を用いるラベル化-LC/ESI-MS/MSを開発した.本年度はこれを用いで唾液中7DHCの分析を検討し,本マーカーの無侵襲検査が可能なことを実証した.さらに,PTADよりもESI応答性の高い4-(4'-dimethylaminophenyl)-1,2,4-triazoline-3,5-dioneを新規開発し,現在,その特性を詳細に試験している.
さらに当初の計画通り,セロトニン(5HT)の多点分子認識ESIラベル化法を検討した.すなわち,5HTに触媒存在下,picolylamineを反応させて誘導体を調製したが,試薬由来の妨害物質が除去できないこと,それに起因してLC/ESI-MS/MSで高感度分析が困難なことが判明した.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

前年度に開発したDAPBAを用いるラベル化を様々なステロイドバイオマーカーに適用し,本法の臨床実用性を評価することができた.また,前年度に判明した「7DHCの濾紙血での安定性が低く,その濃度測定が不可能」という問題に対しては,患児から無侵襲に採取可能な唾液を代替試料として,そこから超微量の7DHCを検出する手法を開発し,解決することができた.さらに,7DHCの検出感度を向上させる新規ラベル化試薬,4-(4'-dimethylaminophenyl)-1,2,4-triazoline-3,5-dioneを合成し,現在,より良好な結果を得つつある.このことから研究はおおむね順調に進展していると判断した.しかし,「研究実績の概要」に記したように5HTについては,ESIラベル化法の開発に行き詰った.この解決策を現在検討中である.
また,得られた成果については,当初の計画通り,国内学会と国際誌に発表することができた.

Strategy for Future Research Activity

24年度に達成できなかった5HTのESIラベル化法の開発について,引き続き検討を行う.問題は,現在使用している触媒(ヘキサシアノ鉄(III)カリウム)由来の妨害であるため,他の触媒への変更を中心に検討する.
一方,4-(4’-dimethylaminophenyl)-1,2,4-triazoline-3,5-dioneがs-cis-ジエンを有するバイオマーカーのESIラベル化試薬として大いに期待できることから,その特性を詳細に解析し,7DHC分析以外にも様々なアプリケーションを検討する.例えば,新生児の潜在的ビタミンD欠乏症が顕在化しているが,濾紙血中の25-hydroxyvitamin D3の精密定量に本ラベル化が有用と期待される.そこで,これを検討する.
また,先天性代謝異常症には,LCHAD欠損症など脂肪酸代謝が関わるものも多いが,マーカー分子の中には,光学活性なものもある.これらを指標とする検査では,量的変動に加えて対掌体比が新しい情報となる可能性が高い.そこで,これらの高感度検出とキラル分離を同時に達成するラベル化試薬の開発も目指す.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

上記の「研究の推進方策」に従い,様々なESIラベル化試薬並びにそれらを用いたラベル化法を同時並行して開発する.研究費の大部分はこれに集中して使用する.また,交付研究費の一部は研究成果の学会,論文発表にかかる経費として使用する予定である.

  • Research Products

    (4 results)

All 2013 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (3 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] LC/MS/MS of steroids having vicinal diol as electrospray-active boronates2013

    • Author(s)
      T. Higashi, K. Kawasaki, N. Matsumoto, S. Ogawa
    • Journal Title

      Chemical and Pharmaceutical Bulletin

      Volume: 61 Pages: 326,332

    • DOI

      10.1248/cpb.c12-00979

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 誘導体化-LC/ESI-MS/MSによる低分子バイオマーカーのトレースキャラクタリゼーション

    • Author(s)
      東 達也
    • Organizer
      第52回日本臨床化学会年次学術集会
    • Place of Presentation
      盛岡
    • Invited
  • [Presentation] 微量ステロイドバイオマーカーのLC-ESI/MS/MSにおける環状誘導体化の有用性

    • Author(s)
      川崎勝己,松本奈宜砂,小川祥二郎,東 達也
    • Organizer
      日本分析化学会第61年会
    • Place of Presentation
      金沢
  • [Presentation] プロトン親和性ボロン酸を用いたビシナルジオールステロイドの高感度LC/ESIMS/MS

    • Author(s)
      川崎勝己,松本奈宜砂,小川祥二郎,東 達也
    • Organizer
      日本薬学会第133年会
    • Place of Presentation
      横浜

URL: 

Published: 2014-07-24  

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