2011 Fiscal Year Research-status Report
開口放出部位を模した脂質平面膜法を用いた分泌小胞局在CaチャネルOrai2の解析
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23590048
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
平嶋 尚英 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (10192296)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | カルシウムチャネル / 開口放出 / マスト細胞 / アレルギー / 分泌小胞 / 生物物理 |
Research Abstract |
花粉症や喘息などの即時型アレルギーは、マスト細胞から分泌されるヒスタミンによって惹起される。ヒスタミンは、細胞内の分泌小胞内に蓄えられており、刺激に伴う細胞内Ca濃度上昇がトリガーとなり、開口放出によって分泌されう。この細胞内Ca2+濃度上昇を担うCa2+チャネルとしてOraiとよばれるCaチャネルが同定された。Oraiには3つのサブタイプ(Orai1,2,3)がるが、我々は、マスト細胞においてOrai2が細胞膜ではなく分泌小胞膜上に局在することを見出した。そこで次のような研究を行った。(1)RNAi法によるOrai2のノックダウンマスト細胞株の構築:複数のOrai2を特異的にノックダウンするために、複数のオリゴRNAを設計し、Orai2の安定低発現株を得た。(2)Orai2のノックダウンマスト細胞株の細胞内Ca2+濃度動態:(1)で得られたOrai2の低発現株について、抗原刺激に対する細胞内Ca2+濃度上昇をFura-2 を用いて測定したところ、細胞内CaストアからのCa2+の放出が低下していた。(3)Orai2のノックダウンマスト細胞株の開口放出活性評価:Orai2の低発現株について、抗原刺激に対する開口放出活性をβ-ヘキソサミニダーゼの活性を指標に測定したところ、開口放出による分泌が低下していた。 Orai2のノックダウンによって、細胞内CaストアからのCa2+の放出が抑制されることは全く予期しない結果であった。今後、この点について追究していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
RNAi法によるOrai2のノックダウンマスト細胞株の構築、ノックダウンマスト細胞株の細胞内Ca2+濃度動態と開口放出活性の実験は予定通り行われた。しかしなgら、Orai2をノックダウンすることによって、細胞内CaストアからのCa2+の放出が影響を受けることは全く想定外であった。そこで、その結果の確認を行うとともに、Orai2による細胞内CaストアからのCa2+の放出の制御機構を明らかにすべく、実験計画を再検討したため、達成度の点からはやや遅れていると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、当初の計画であった、ノックダウン株へのOrai2の導入による救済実験を行うほか、Orai2による細胞内CaストアからのCa2+の放出の制御機構を明らかにすべく、次の2点について中心的に実験を行う。(1)Orai2と細胞内Caストアの可視化解析 分泌小胞膜に局在するOrai2が、いかにして細胞内CaストアからのCa2+の放出を制御するのかを明らかにするには、両者の細胞内での相互位置関係の情報が不可欠である。そこで、GFPなどの蛍光蛋白質を用いて、Orai2と細胞内Caストア(ER)の生細胞での同時可視化を行う。(2)Orai2のタンパク質相互作用 Orai2による細胞内CaストアからのCa2+放出制御には、Orai2の細胞質ドメインが細胞内Caストアの膜上の蛋白質と相互作用が関わっている可能性がある。そこで、GSTを結合させたOrai2の細胞質ドメインを用いてGSTプルダウンアッセイを行い、相互作用するタンパク質について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は1,100,000円配分されており、また23年度「次年度使用する予定」の375,168円を加えると、合計1,475,168円となる。23年度の「次年度使用する予定」は、研究結果が予想されてものと異なっていたため、当初予定していた平面膜測定用のアンプの購入を見送ったためである。24年度は、使用計画は次のとおりであるが、主に、Orai2と細胞内Caストアの可視化解析のための消耗品とOrai2のタンパク質相互作用を探索するための消耗品、及び学会等での情報収集のための旅費である。物品費:1,100,000円、旅費:300,000円、その他:75,168円
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Research Products
(6 results)