2012 Fiscal Year Research-status Report
開口放出部位を模した脂質平面膜法を用いた分泌小胞局在CaチャネルOrai2の解析
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23590048
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
平嶋 尚英 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (10192296)
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Keywords | カルシウムチャネル / 開口放出 / マスト細胞 / アレルギー / 分泌小胞 / 生物物理 |
Research Abstract |
昨年度構築したRNAi法によるOrai2のノックダウンマスト細胞株の構築、ノックダウンマスト細胞株の細胞内Ca2+濃度動態と開口放出活性の実験から、Orai2をノックダウンすることによって、細胞内CaストアからのCaの放出が抑制されることが明らかとなった。今年度は次のような研究を行った。 1. Orai2がマスト細胞以外の細胞では、どこに局在するかを検討した。その結果、COS7細胞とHeLa細胞では、Orai2はOrai1と同様、細胞膜に局在し、細胞質のオルガネラへの局在はほとんど認められなかった。このことから、Orai2の分泌小胞への局在は、マスト細胞に特徴的な分布であることが明らかとなった。 2. ノックダウン株へのOrai2の導入による救済実験を行ったところ、細胞内CaストアからのCa2+の放出が抑制はあ一部回復したが、100%は回復しなかった。 3. 抗原刺激ではなく、細胞内CaストアからのCa2+の放出を誘導するタプシガルギンで刺激すると、ノックダウン株の細胞内Ca濃度上昇は野生株と差は認められなかった。また、タプシガルギン刺激による開口放出の阻害も認められなかった。このことは、Orai2のノックダウンによってCaストア内のCa量が減少したわけではないことを示唆する。 4. 分泌小胞膜に局在するOrai2が、いかにして細胞内CaストアからのCa2+の放出を制御するのかを明らかにするために、蛍光蛋白質GFPを結合したOrai2と小胞体(ER)とのOraiと相互作用する事が示唆されている、TRP(transient receptor potential)チャネルとOrai2の相互作用を検討するために、3種類のTRPチャネルのクローニングを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Orai2をノックダウンすることによって、細胞内CaストアからのCaの放出が影響を受けることは全く想定外であった。そこで、その結果の確認を行ったところ、Orai2のノックダウンによって、抗原刺激に伴う細胞内CaストアからのCaの放出が抑制されることを確認した。しかしながら、Orai2と小胞体の相互作用の実験からクリアな結果が得られず、依然として分泌小胞に局在するOrai2が、細胞内CaストアからのCa2+の放出の制御する手掛かりがつかめず、達成度の点からはやや遅れていると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として、次の項目を中心に実験を行う。 1. Oraiと相互作用する蛋白質としてしられているTRPとのタンパク質間相互作用を検討する。 2. Orai2による細胞内CaストアからのCa放出制御には、Orai2の細胞質ドメインが細胞内Caストアの膜上の蛋白質と相互作用が関わっている可能性がある。そこで、Orai2の細胞質ドメインのみを強発現させ、これによってCaストアからのCa放出がどのような影響を与えるか検討を行う。 3. 分泌小胞自体がCaストアとして働き、Orai2が分泌小胞からのCa放出に関与している可能性を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は1,000,000円配分されている。25年度は、使用計画は次のとおりであるが、主に、Orai2と相互作用する蛋白質の同定、Orai2の細胞質領域の強発現系の解析、及び学会等での情報収集のための旅費である。 物品費:750,000円、旅費:200,000円、その他:50,000円
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Research Products
(7 results)