2012 Fiscal Year Research-status Report
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23590052
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
四宮 一総 日本大学, 薬学部, 教授 (70215995)
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Keywords | 薬学 / 分析科学 / 分離分析法 / 液-液分配 / クロマトグラフィー / 向流クロマトグラフィー / 分離精製法 |
Research Abstract |
衛星運動型高速向流クロマトグラフ装置(coil satellite centrifuge:CSC)を本学理工学部工作技術センターで製作すると共に本装置に新規回転制御システムの導入を行った。CSCはテフロンチューブをコイル状に巻き付けて作製したカラム(コイル状カラム)が太陽-地球-月の関係に例えられる3重回転を行う装置で、太陽軸、惑星軸及び衛星軸廻りの回転角速度をそれぞれω1、ω2、ω3とするとω1 = ω2 + ω3のとき送液チューブはねじれない。ω2 = 0のとき惑星運動、ω2 ≠0のとき衛星運動型回転を行うことができるため、新規回転制御システムを導入することによりω2を制御すると、回転中の可変的加速度変化が可能になる。 ω2 = 0の惑星運動型回転の場合、惑星軸をもつ第2ロータリーフレーム(地球)端に設置されたカラム(月)の静止位置を太陽軸からの軸線上の内側にすると惑星運動の公転半径は第2ロータリーフレームの半径分短くなり、静止位置を180°外側にすると公転半径は第2ロータリーフレームの半径分長くなる。このため、回転制御システムによりカラムの静止位置を変化させると公転半径の異なる多様な惑星運動ができる。また、ω2≠0の衛星運動型回転の場合、第1モータ及び第2モータの回転を個別に制御するとω1、ω2、ω3をカラム自転中に可変的に変化させることができる。 以上のように、CSCは惑星運動、衛星運動の両方を同期的又は非同期的に達成できる多様性の高い高速向流クロマトグラフ装置(HSCCC)であり、新規回転制御システムの導入により、従来の円運動に加え、形状の異なる回転軌跡の構成が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
衛星運動型高速向流クロマトグラフ装置の設計と製作に多大の時間を要した。また、本装置製作中、衛星運動型回転ばかりでなく第2ロータリーフレームの回転を制御することで公転半径の異なる惑星運動型回転も実施できることがわかり、その両方を1台の装置で実現するための新規回転制御システムの開発も行った。その結果、当初の計画より進捗がやや遅れているが、より一層の分離効率を検討する上での実験条件の設定が幅広い範囲で可能となる装置の製作ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
コイル状カラムを作製し、衛星運動型回転及び惑星運動型回転での有機溶媒‐水系二相溶媒(n-ヘキサン/酢酸エチル/1-ブタノール/メタノール/水系など)及び水性二相溶媒(ポリエチレングリコール1000/リン酸カリウム塩水溶液など)での物質分離を行い、固定相保持率、分離度、理論段数など分離効率の検討を行う。また、遠心力などの力学的物理量と回転軌跡が分離効率に及ぼす影響について考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
装置保守の部材及びその加工費、コイル状カラムや送液チューブに用いるためのテフロンチューブ、移動相溶媒送液用ポンプの部品、テフロンチューブを接続用ジョイント、粘着テープ類、分離実験用有機溶媒(n-ヘキサン、酢酸エチル、1-ブタノール、メタノールなど)や水性二相溶媒の調製物質(ポリエチレングリコール1000、リン酸一水素二カリウムなど)、分離用試料等の購入に使用する。 また、得られた成果を学会発表、論文投稿するための経費として使用する。
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Research Products
(1 results)