2012 Fiscal Year Research-status Report
コイルドコイルによるホモ-ヘテロ変換を応用したpH応答性バイオ素子の開発
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23590058
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
栗本 英治 名城大学, 薬学部, 准教授 (90234575)
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Keywords | コイルドコイル / バイオ素子 / pH / 輸送タンパク質 |
Research Abstract |
酵母輸送タンパク質Emp46pおよびEmp47pのヘテロ複合体形成について、23年度は会合に寄与するコイルドコイルドメイン領域および複合体形成の制御に重要なアミノ酸残基等を明らかとした。24年度は、pHによる会合制御について、より詳細な解析を行った。その結果、pH5における会合抑制は50%程度であるが、pHを4まで低下させると複合体形成は完全に抑制されること、さらに、中性pH条件下で一旦形成されたヘテロ複合体はpH4の条件下で可逆的に解離することが明らかとなった。 この他、ヘテロ複合体の形成過程を蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)によりリアルタイムに捉えるために、Emp46cおよびEmp47cのN末端に、アクセプターとなるRFP、ドナーとなるGFPをそれぞれ融合したコンストラクトを作成した。この際、高効率のFRETを得るために、基質結合ドメインとコイルドコイルの間のスペーサーとなっているストークの長さを変えた蛍光タンパク質融合体を複数作成し、それぞれの組み合わせにおけるFRETの効率を測定した。その結果、コイルドコイルに連結するストークをほぼ欠損させたコンストラクト同士の組み合わせにおいて最も高い効率のFRETが得られることが判明した。この結果は、Emp46p/47pヘテロ複合体におけるコイルドコイルのN末端の位置は揃っていることを示唆するものであり、さらに蛍光タンパク質をコイルドコイル領域に直接融合しても、ヘテロ複合体の形成に対して立体障害的に働かないことを示すものである。 本研究により作成された蛍光融合型のEmp46cおよびEmp47cは、今後、種々の条件下におけるヘテロ複合体形成過程の詳細な解析において、また会合特性の改良を意図した変異導入の評価において有用となるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度の研究により、Emp46pおよびEmp47pのコイルドコイル領域を介したヘテロ複合体の形成がpHにより可逆的に制御されることを明らかとすることができた。また、FRETを利用することにより、会合過程をリアルタイムに解析する手法も確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度の解析の結果、Emp46c/47cの会合・解離が制御されるpHの条件が4~5と低いことが判明した。細胞内のpHセンサーとしての利用を想定した場合、より広範囲のpHに応答するような改変が必要であると考えられる。そこで、様々な変異を導入することにより会合特性の改変を試み、幅広く応用可能となるようにコンストラクトの最適化を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
pH応答性のバイオセンサーとして最適化するために、種々の部位特異的アミノ酸変異体の作成に必要な各種制限酵素、DNA合成、発現タンパク質精製用カラムなどの消耗品に使用する。
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Research Products
(2 results)