2012 Fiscal Year Research-status Report
iNOSが分解されないマウスの作製とそれを用いたiNOS分解系の生理機能の解明
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23590066
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西屋 禎 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80399831)
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Keywords | iNOS / SPSB / ECS(SPSB) / ユビキチン化 / 蛋白質分解 |
Research Abstract |
本研究は、Elongin B/C-Cul5-SPSB型E3ユビキチンリガーゼ(ECS(SPSB))が機能しないマウスを作出し、このマウスを用いて、ECS(SPSB)の基質である誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)の分解系の生理機能を明らかにすることを目的とする。本年度は、前年度に作製したトランスジェニック(Tg)マウス作出用の発現コンストラクトを企業に送り、Tgマウスの作出を行う予定であったが、発現コンストラクトのベクター部分を除く過程で問題が発生した。具体的には、発現コンストラクトを制限酵素(HindIIIとAatII)で切断して「プロモーター-iNOS(1-118)-SV40 polyA」断片を精製する際に、この断片のすぐ近くにもう一つ断片が現れ、どちらの断片が目的の断片かがわからなくなった。そこで、目的の断片を同定することと、目的の断片の精製法を新たに構築する必要が生じた。各断片を用いた発現確認と電気泳動を改良した結果、Tgマウス作出に必要な純度と濃度を保持する精製断片を得ることができた。 また、ECS(SPSB)の基質認識サブユニットであるSPSBの認識配列(D/E-I/L-N-N-N)をBlast searchにかけ、ヒットした分子について生化学的解析を加えて、iNOS以外のECS(SPSB)の基質を新たに三種類同定することに成功した。これらは、がん抑制遺伝子p53の活性制御に関わる分子、心臓の発生・発達を制御する分子、さらには脳に局在して神経樹状突起棘形成に関与する分子であり、これらの分子の発現レベルの異常は、生体システムに著しい影響を与えることが推測される。したがって、当初考えていたiNOS分解系は、iNOSのみならず、これらの重要分子の発現レベルの制御も担っていることが推測され、iNOS分解系が広範な生理機能の調節に関わっていることがわかってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Tgマウス作出用の発現コンストラクトの制限酵素処理後の精製断片を得る過程で予期せぬ問題が生じたが、断片の解析及び精製法の改良を行い、Tgマウス作出に適用可能な濃度及び精製度の精製断片を得ることができ、実験はTgマウス作出段階に進んだと言える。また、バイオインフォマティクスによりECS(SPSB)の新規基質を三種類同定することができた。これにより、iNOS分解系の生理機能の全貌解明に向け、新たな突破口が開けた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、前年度に調製したTgマウス作出用の発現コンストラクトの精製断片を企業(日本SLC)に送り、Tgマウスの作出を行う。Tgマウスが得られたら、細胞内寄生細菌に対する感染防御、敗血症の発症及びその病態形成、及び免疫系の発達におけるiNOS分解系の機能解析を行う。また、新たに同定した三種類の基質についても、Tgマウスを用いて、それらの分子の分解制御機構ならびに分解の生理的意義について解析を加える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1. トランスジェニックマウスの作出:70万円 2. 実験用動物及び動物実験施設使用料:30万円 3. 生化学・分子生物学実験用試薬、器具:50万円
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Research Products
(2 results)