2013 Fiscal Year Research-status Report
がん微小環境におけるTNF-α→TAK1シグナルはなぜ転移を促進するのか
Project/Area Number |
23590071
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
櫻井 宏明 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 教授 (00345571)
|
Keywords | TNF / TAK1 / EphA2 / がん / リン酸化 / 炎症 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
炎症性サイトカインTNFによって活性化されるキナーゼTAK1よるがん悪性化機構の解析を進めている。TAK1によってリン酸化される新たなチロシンキナーゼ型受容体を探索した結果、昨年度までにEph受容体ファミリーに属するEphA2のSer-897がRSKによってリン酸化されることを見出していた。今年度は、RSK-EphA2経路ががん細胞の悪性化に関与していることを検証した。 ヒト乳がん細胞株MDA-MB-231細胞において、RSK活性化により恒常的なEphA2のリン酸化が起こっていることがわかった。そこで、RSK阻害剤でEphA2のリン酸化を阻害すると、がん細胞の浸潤活性および細胞運動活性が阻害された。また、この際リン酸化EphA2の局在を免疫蛍光染色法で検討した結果、浸潤先端部位であるラメリポディアで顕著にリン酸化されていることがわかった。siRNAによりRSKまたはEphA2をノックダウンした場合でも細胞運動能は阻害されたことから、RSK-EphA2シグナルは細胞浸潤に重要な役割を果たしていることが示唆された。また、EGFR活性化変異を有する肺がん細胞PC-9やBRAF変異を有するメラノーマA375などにおいて、RSK-EphA2シグナルが恒常的に活性化していることも見出した。現在、ヒト乳がん細胞組織などを用いた免疫組織化学染色により、EphA2 Ser-897の検出を試みている。 一方、EphA2と相同性の高い同じEph受容体ファミリーのEphA1もTNFによってリン酸化されることがわかった。現在、そのリン酸化に至るシグナル経路とリン酸化部位の同定を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EphA2のリン酸化経路が判明したことから、最終年限を延長して免疫組織化学染色を実施することにした。当初予定していた実験はおおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
EphA2のリン酸化経路が判明したことから、最終年限を延長して免疫組織化学染色を実施する。特に、組織マイクロアレイを用いた検討を行い、RSKとEphA2の機能的な相互作用があるのか、また予後との相考えられるのかを検討する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
RSKによるEphA2リン酸化の発見に伴い、腫瘍内でのRSKによるEphA2のリン酸化を免疫組織化学染色にて検討する必要が生じたため。 免疫組織化学染色に必要な抗体などの試薬類に充てる。また、学会発表旅費や論文作製費としても使用する予定である。
|
-
-
-
[Journal Article] Inverse correlation between Thr-669 and constitutive tyrosine phosphorylation in the asymmetric epidermal growth factor receptor dimer conformation.2013
Author(s)
Sato K., Shin M.S., Sakimura A., Zhou Y., Tanaka T., Kawanishi M., Kawasaki Y., Yokoyama S., Koizumi K., Saiki I., and Sakurai H.
-
Journal Title
Cancer Science
Volume: 104
Pages: 1315-1322
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-