2012 Fiscal Year Research-status Report
M1及びS9ファミリーに属する高分子量ペプチダーゼの構造解析
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23590081
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
伊藤 潔 九州保健福祉大学, 薬学部, 教授 (50201926)
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Keywords | S9ファミリー / M1ファミリー / ペプチダーゼ / オリゴペプチダーゼB / アミノペプチダーゼ / 基質特異性 / 基質阻害 / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
平成24年度も引き続きM1ファミリー酵素であるピューロマイシン感受性アミノペプチダーゼ(hPSAP)とS9ファミリー酵素であるオリゴペプチダーゼB(OPB)を中心に研究を行った。 低温発現により活性型酵素を得ているhPSAPについては、同属の酵素で、我々が結晶構造解析に成功した大腸菌アミノペプチダーゼN(eAPN)との一次配列比較からAla271に注目し、このアミノ酸残基をeAPN型にしたA271M変異体を作製した。eAPNのM260A変異体ではピューロマイシン感受性が低下したのに対し、hPSAPのA271M変異体ではピューロマイシン感受性に大きな変化は認められなかった。eAPNのMet260は幅広い基質特異性に重要な役割を果たすアミノ酸残基である。種々の合成基質を用いた速度論解析の結果からは、A271M変異体における基質特異性の変化が観察され、Ala271もeAPNのMet260同様に基質特異性に関与しているが、役割は異なっていると考えられた。結晶化についても検討を行ったが、現在までのところ構造解析には至っていない。 一方、OPBについては、日和見感染菌として知られるSerratia、Xanthomonasとグラム陽性のRhodococcusおよびグラム陰性である大腸菌のOPBを発現、精製することに成功し、種々の合成基質を用いた詳細な速度論解析を行った。その結果、Serratia marcescensのOPB(SemOPB)が、OPBの大きな特徴である基質阻害現象を示さないことを明らかにした。この結果は、感染症のドラッグターゲットとしての価値を持つOPBの効率的な阻害剤をデザインするための有用な情報となる。また、これら細菌由来OPBについても結晶化の検討を引き続き行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学を異動したことにより、常用する機器の確保など、研究室のセットアップに時間を要したことと、新研究室での酵素タンパク質発現条件検討を行わねばならなかったため、研究の進展が若干遅れ気味である。
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Strategy for Future Research Activity |
M1ファミリー酵素について、ヒトアミノペプチダーゼN(hAPN)の発現系の構築は現状の大腸菌系では難しいことがわかってきたので、適当な発現系の目処が立つまでは、大腸菌酵素(eAPN)を材料として、APNの研究を進める。具体的には、hPSAPについての研究と融合させ、eAPNの結晶構造情報と両酵素の一次配列の比較から部位特異的変異導入法を用いて各種変異酵素を作製し、eAPNとhPSAPとの比較研究を行い、M1ファミリーの基質結合および反応機構の解明を進めていく計画である。当面のターゲットはeAPNの活性部位で重要な役割を果たしていると予想されるLys319とTyr376に対応するhPSAPの残基(Asn337とPhe389)の変異体を作製して、速度論的解析を行うとともにX線結晶構造解析を含めて検討していく。 OPBについては、未だ情報のない細菌由来OPBの結晶構造解析を目指して、現在までに得ている細菌由来OPBの結晶化条件の検討を行っていく。OPBの大きな特徴である基質阻害の原因の詳細を明らかにするため、その基質阻害現象を示さないSerratia marcescens OPB(SemOPB)をモデルとして研究を進めていく。具体的には、キメラ酵素や部位特異的変異体を作製し、それらの基質阻害の有無を詳細な速度論的解析を行うことで明らかにし、基質阻害現象に関わる領域あるいはアミノ酸残基を特定する。これらの変位酵素についてもX線結晶構造解析の可能性を含めて行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] 細菌由来オリゴペプチダーゼBの基質阻害2012
Author(s)
Malik Suliman Mohamed Mustafa, 中嶋義隆, 尾山廣, 芳本忠, 小山裕也, 大河原晋, 岩田修永, 伊藤潔
Organizer
第85回日本生化学会大会
Place of Presentation
マリンメッセ福岡(福岡)
Year and Date
20121214-20121216