2011 Fiscal Year Research-status Report
アレルギー疾患発症における自然免疫系の意義に関する基礎的研究
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23590084
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
田中 宏幸 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (70264695)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 喘息 / 自然免疫 |
Research Abstract |
本研究では特にアトピー型気管支喘息の発症頻度の増加メカニズムを、申請者らが最近確立したマウス喘息モデルを用いて、"アレルギー疾患発症におけるtoll-like receptor (TLR) をはじめとする自然免疫応答の意義"という観点に立ち、in vivoおよびin vitroの両面から解析することを主眼とする。特に、本研究ではTLR4、TLR9ならびにNOD1に焦点を絞り、これら受容体のアレルギー発症責任受容体としての位置づけを明らかにすることを目的とする。本年度は、ダニ抗原自体の感作性についてTLR4、TLR9ならびにNOD1遺伝子欠損マウスを用いて、ダニ抗原経気道感作・経気道惹起モデルにより解析を行った。 その結果、NOD1KOマウスでは野生型マウスと同様にダニ抗原の反復気管内投与により喘息様病態形成が認められたが、TLR4KOならびにTLR9KOマウスについては野生型マウスに比し、喘息様病態形成の有意な減弱が観察された。本研究で用いたダニ抗原中にはLPSが含有されていることから、TLR4KOマウスにおける反応の減弱は妥当と思われる。一方、TLR9の関与については不明な点が多い。そこで、ダニ抗原とエンドゾーム内酸性化阻害剤であるクロロキンを同時投与することにより、エンドゾーム内での認識が重要か否かを確認した。その結果、クロロキン処置によりダニ抗原誘発喘息様病態形成は有意に減弱したが、KOマウスにおける反応以下には低下が認められなかった。一方、ダニ抗原とアラムを腹腔内投与し、ダニ抗原を気管内投与した場合には、野生型マウスとKOマウスの表現型に差は認められなかった。 従って、ダニ抗原に対して特に気道での自然免疫応答が関与している可能性が示唆された。来年度以降に機序の解析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、3種類のKOマウスを用いて、ダニ抗原の認識経路を自然免疫の活性化という観点から検討したところ、複数のTLR受容体を介する応答であることが判明した。特に、TLR9の経路は予想に反する結果であり、今後の研究の進展が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は2年目である。平成23年度の研究により明らかとなったTLR9の関与について、特にダニ抗原中のDNA含量、DNase共存下における反応、卵白アルブミン+CpG DNAとの併用投与による再現性などを検討していく予定である。また、TLR9の発現細胞についても併せて検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度と同様に、消耗品・動物の購入(PCR関連試薬・FACS解析用試薬・動物維持管理費・プラスチック製品)を予定している。
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