2013 Fiscal Year Annual Research Report
インテグリン依存的ながん細胞の腹膜への接着・浸潤とサイトカインによる修飾
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23590092
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
辻 勉 星薬科大学, 薬学部, 教授 (00143503)
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Keywords | がん浸潤 / インテグリン / ラミニン / 腹膜播種 / サイトカイン / メタロプロテイナーゼ / 腫瘍関連マクロファージ |
Research Abstract |
1)がん細胞の疑似腹膜への浸潤に対するサイトカインの影響 マウス腹膜中皮細胞単層培養系への胃がん細胞株MKN1の浸潤は、中皮細胞をTNF-αまたはIL-1βで前処理することによって増強されたが、IFN-γでは増強されなかった。また、この浸潤能の増強は抗α3インテグリン抗体により部分的に阻害された。次に、MMP-2および9の発現・分泌量についてRT-PCRおよびゼラチンザイモグラフィーにより解析したところ、MKN1細胞および中皮細胞のいずれにおいてもTNF-αまたはIL-1β処理によりMMP-2及び9の発現・分泌量が増加した。一方、IFN-γ処理では変化が認められなかった。以上より、中皮細胞単層培養系に対するMKN1細胞の浸潤能は、TNF-αやIL-1βにより亢進し、この浸潤過程の一部にα3β1インテグリンが関与していることが示された。また、TNF-α及びIL-1βは、がん細胞に対する作用に加え、中皮細胞にも作用しMMPsの分泌を亢進させることが明らかとなり、これらが協調してMKN1細胞の浸潤能を亢進させることが示唆された。 2)細胞外マトリックス (ECM)タンパク質による腫瘍関連マクロファージの分化調節 基底膜の主要な ECM タンパク質であるラミニン-332 (ラミニン-5) の単球分化に対する影響を検討した結果、ラミニン-332 は単球からの MMP-9 産生能を増強させた。ラミニン-332 は、γ2 鎖のプロセシングにより、その機能が変化することが報告されている。そこで、単球分化に及ぼすプロセシングの影響を検討したところ、γ2 鎖 N 末端部分の切断除去により、MMP-9 産生能が増強されることが明らかとなった。一方、切断により生成する N 末端フラグメントには MMP-9 産生能を抑制する作用があることが示された。以上の結果から、ラミニン-332 が単球分化を促進し、またγ2 鎖のタンパク分解プロセシングによりその機能が調節されていることが示された。
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