2011 Fiscal Year Research-status Report
分子シャペロンによる新規癌抑制因子WW45の機能制御
Project/Area Number |
23590100
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Research Institution | Himeji Dokkyo University |
Principal Investigator |
柴田 克志 姫路獨協大学, 薬学部, 教授 (70296565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白木 孝 姫路獨協大学, 薬学部, 講師 (10294208)
酒井 伸也 姫路獨協大学, 薬学部, 助手 (30525077)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 分子シャペロン / アグレソーム / ユビキチン化 |
Research Abstract |
プロテオミクス解析により、申請者はミトコンドリア分子シャペロンであるHsp60が、WW45の新規結合蛋白である事を見出した。本研究では、分子生物学的・プロテオミクス技術を駆使して、WW45-Hsp60複合体形成の分子メカニズムならびに、分子シャペロンによるWW45の細胞生理機能の制御機構を明らかとする事を第一の目的としている。平成23年度は、(1)GFP-WW45を安定発現させた、Hela細胞およびHEK293細胞を作製し、WW45の細胞内局在変化の解析を主に行った。免疫組織化学的解析により、WW45は細胞質およびミトコンドリアにおいてHsp60と部分共局在していた。(2)申請者はプロテオミクス解析によりHsp60と同様に、Hsp70がWW45の新規結合蛋白である事を見出した。Hsp70はHDAC6、CHIPなどと協調的に作用し、ミスフォールド蛋白をユビキチン化する分子シャペロンである。(3)プロテアソーム阻害剤の処置によりGFP-WW45が細胞内にてアグレソームを形成し、免疫組織化学的解析によりHsp70、CHIPとも共局在するという新たな知見を見出した。この結果により、WW45がアグレソーム形成において新たな重要な役割を担っている可能性が示された(2012年米国生化学・分子生物学会発表)。(4)Flagタグを融合させたユビキチン発現構築とWW45を共発現させたところ、WW45はユビキチン化されている事が示された。以上より、WW45がHsp60あるいはHsp70などの分子シャペロンと相互作用する事は、WW45の細胞内局在変化ならびにHippo-Salvador-Warts情報伝達の新たな活性制御機構である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の実験計画を修正したものの、プロテオミクス解析によりHsp60と同様に、Hsp70がWW45の新規結合蛋白である事を見出した。さらに、プロテアソーム阻害剤の処置によりGFP-WW45が細胞内にてアグレソームを形成し、免疫組織化学的解析によりHsp70、CHIPとも共局在するという新たな知見を見出した。この結果により、WW45がアグレソーム形成において新たな重要な役割を担っている可能性が示され、研究計画はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、分子シャペロンによるWW45の細胞生理機能制御を明らかとする事を第一の目的としている。申請者はプロテオミクス解析によりHsp60と同様に、Hsp70がWW45の新規結合蛋白である事を見出し、当初予定していたWW45とHsp60との相互作用のみの解析では、WW45の機能制御を十分理解する事が困難であると判断し、当初の実験計画を修正した。具体的にはHsp60のみならずHsp70についても詳細な細胞内局在変化を解析する事としたため、年度内に当初の研究計画を完了することが困難となった。しかし、実験計画修正の結果、プロテアソーム阻害剤の処置によりGFP-WW45が細胞内にてアグレソームを形成し、免疫組織化学的解析によりHsp70、CHIPとも共局在するという新たな知見を見出した。この結果により、WW45がアグレソーム形成において新たな重要な役割を担っている可能性が示された(2012年米国生化学・分子生物学会発表)。 今後の研究の推進方策としては、平成23年度に予定していた実験計画も含めて以下のように計画している。(1)shRNA発現レンチウィルスを用いて、WW45ノックダウン細胞を作製し、Hsp60ならびにHsp70の細胞内局在変化との関連を解析する。(2)GFP融合蛋白を用いた実験より見出した知見は、内在性蛋白に対する抗体、あるいはFLAG、HAなどとの融合蛋白を発現させた各種細胞株で局在変化の詳細を解析する。(3)電子顕微鏡を用いて細胞内局在の詳細を観察する。(4)ドメイン構造に基づき、WW45、Hsp60 ならびにHsp70の各種変異体を作製し、WW45との結合ドメインを決定する。(5) WW45ノックダウン細胞をヌードマウスに移植し、腫瘍形成能および転移能を個体レベルで解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の大部分は試薬などの消耗品に使用する予定であり、大型設備備品の購入の予定はない。また、一部分は技術補佐員の人件費に充当する予定である。
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