2012 Fiscal Year Research-status Report
宿主変異株を用いたC型肝炎ウイルスライフサイクルに関与する宿主因子の研究
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23590104
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
深澤 征義 国立感染症研究所, 細胞化学部, 室長 (20291130)
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Keywords | C型肝炎ウイルス |
Research Abstract |
Claudin 1抗体の樹立と本抗体によるC型肝炎ウイルス感染阻害 本研究は、HCV感染に耐性を示す宿主変異株の分離を通じて、HCV感染・産生に必須な宿主因子をゲノムワイドに検索・同定し、依然として未知の点の多いHCVライフサイクルに関わる宿主分子メカニズムを分子細胞生物学的に明らかにすることを目的としている。宿主肝細胞内へのHCVの侵入過程には、タイトジャンクション構成タンパク質Claudin 1が関与することがわかってきている。これまでの我々の研究においても、HCV感染に耐性を示す宿主変異株の分離を試みた結果、Claudin 1の欠損株が複数分離されたこと、この変異株にClaudin 1遺伝子を導入しその発現を戻すと感染が回復することから、Claudin 1がHCV感染において必須の分子であることが示されている。Claudin 1を介したHCV侵入メカニズムを解析するために本年度は以下の取り組みを行った。Claudin 1を介したHCVの宿主細胞への侵入を阻害するプローブの取得を目的に、Claudin 1細胞外ドメインに対する抗体の作製を様々な方法により試みた。その結果、DNA免疫法を用いることで、インタクトの細胞表面Claudin 1を認識できる4種のマウスモノクローナル抗体の樹立に成功した。各種Claudin発現細胞を用いた解析から本抗体はClaudin 1特異的に反応することも明らかとなってきている。さらに、培養細胞を用いたHCV感染系において、すべての抗体がHCV感染を容量依存的に阻害することも示された。以上の結果から、Claudin 1細胞外ドメインを認識するプローブが抗HCV薬になり得る可能性が提示できた。今後、本抗体を用いて詳細なHCV侵入メカニズムの解析を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は特に進展のあった、Claudin-1を認識するプローブの取得について研究実績の概要に記載した。HCV感染に耐性を示す宿主変異株の分離と性状解析についても順調に行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
一つには、本年度作製に成功した抗Claudin-1モノクローナル抗体を用いて詳細なHCV侵入メカニズムの解析を行っていく予定である。 また、これまでのスクリーニングで分離されたHCV耐性変異株について、さらにその性状解析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞スクリーニングやHCV感染培養系のための細胞培養用経費が50万円程度、HCV感染の検出・確認のための生化学的試薬に40万円程度・分子生物学的試薬に50万円程度を予定している。研究発表や研究情報収集・交換のための旅費に20万円程度、その他の文献代や実験補助の謝金に10万円程度を予定している。
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Research Products
(8 results)