2014 Fiscal Year Research-status Report
宿主変異株を用いたC型肝炎ウイルスライフサイクルに関与する宿主因子の研究
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23590104
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
深澤 征義 国立感染症研究所, その他部局等, 室長 (20291130)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | C型肝炎ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、C型肝炎ウイルス(HCV)感染に対する感受性が異なる宿主変異株の分離等を通じて、HCV感染・産生に関与する宿主因子をゲノムワイドに検索・同定し、依然として未知の点の多いHCVライフサイクルに関わる宿主分子メカニズムを分子細胞生物学的に明らかにすることを目的としている。 今年度の主な成果としては、ヒト肝由来Huh7.5.1よりクローニングにより分離され、HCVに対して非常に高い感受性を示すことを見出しているHuh7.5.1-8細胞株についての性状解解析を進めたことである。Huh7.5.1細胞は、HCV感染感受性が非常に高い細胞として知られているが、Huh7.5.1-8細胞株は親株(Huh.7.5.1細胞)に比べ、HCV侵入能が約2倍、複製能が約10倍亢進した細胞であり、よりHCV感染感受性が高くなった細胞である。親株とHuh7.5.1-8細胞の遺伝子発現をRNA-seq法により網羅的に解析した結果、7つの遺伝子の発現がHuh7.5.1-8細胞で上昇していた(逆に低下している遺伝子は見られなかった)。定量PCR解析によっても、7つのうち6つの遺伝子の発現変動が有意差を持って確認された。変動していた遺伝子は、肝細胞特異的な遺伝子が複数含まれており、細胞増殖に関わる遺伝子も複数含まれていた。また、HCVタンパク質導入細胞で大きな発現変動をすることが報告されている遺伝子も含まれていた。以上の結果から、Huh7.5.1-8細胞は、より肝臓に分化した状態を維持でき、かつ細胞増殖も優れた細胞株になっていることで、HCV感受性が非常に高くなっていることが示唆された。今後は、HCVタンパク質と同定遺伝子との機能連関についても明らかにできればと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、特に進展のあったHCVに感受性の高い細胞株における遺伝子変動をについて、研究実績の概要に記載した。HCVライフサイクルの亢進に関与する可能性のある宿主分子について、複数の候補を同定できてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
一つには、今回得られたHCVライフサイクルの亢進に関与する可能性のある宿主分子について、HCVタンパク質との機能連関について解析していきたい。 また、これまでのスクリーニングで分離されたHCV感受性に違いが見られる宿主変異株についての性状解析を進める。
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Causes of Carryover |
研究の進展を鑑み、本年度はHCV高感受性株の遺伝子発現変動解析を中心に進めた。そのため、高額になる培養細胞の費用の計上が少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、高額の培養細胞の費用を当初予定額に加えて計上する予定である。
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Research Products
(3 results)