2013 Fiscal Year Annual Research Report
アクアポリン水チャネルの新規機能とそれを応用した抗炎症薬の開発
Project/Area Number |
23590109
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
礒濱 洋一郎 東京理科大学, 薬学部, 教授 (10240920)
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Keywords | アクアポリン / サイトカイン / 炎症 / 桂皮 |
Research Abstract |
アクアポリン(AQP)は細胞膜上に存在する水チャネルであり,生体内の水分代謝と密接な関係にある.我々はこれまでの研究で,AQP類が単なる水代謝の調節因子としてだけでなく,炎症性刺激に応じたサイトカイン類の発現を亢進するという新たに見出した現象に注目し,その特性や薬理学的応用の可能性について追求している.本年度は,この炎症応答亢進作用にはAQPアイソフォーム選択性があり,少なくともAQP3, AQP4およびAQP5は同様の効果をもつものの,AQP1にはないことを明らかにした.そこでAQP5とAQP1の種々のキメラ体を作製したが,AQP5のC-末端領域をAQP1型に置換すると水透過性に影響することなく,炎症応答亢進およびERK活性の両作用が消失することを明らかにし,C末端領域の重要性を示した.また,昨年度までに見出した生薬桂皮エキス中に存在するAQP5の炎症亢進作用の抑制物質については,少なくとも従来,抗炎症作用を示されているシナムアルデヒドおよびプロシアニジン類とは異なる新規成分が関わることを明らかにした.さらに,in vivo の実験系により桂皮エキスの気道炎症抑制作用を調べ,本生薬エキスが著明な抗炎症作用を示すことを見出した.これらの成績は,本研究で提唱するAQP5の新機能の制御が気道炎症を鎮めるための治療戦略となり,また桂皮エキス中に本戦略を実行するシーズが含まれることを強く示している.
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Research Products
(19 results)