2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23590117
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
石毛 久美子 日本大学, 薬学部, 教授 (40212873)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | GR103691 / 酸化ストレス / 細胞死 |
Research Abstract |
脳梗塞などの脳血管疾患治療において有効な治療薬となる新たな脳保護薬の開発を最終的な目的として、本研究課題においては、申請者が、神経細胞保護作用見出したGR103691を出発物質としてより有効な保護薬候補物質を探索するとともに、GR103691および新規保護薬候補物質の保護メカニズムの検討を行うことを目的とした。23年度は、まず、関連化合物の収集とそれらのスクリーニングを中心に行った。化合物収集に関しては、化学系研究者の協力を得て、50種類以上のGR103691誘導体を合成した。マウス海馬神経細胞由来のHT22細胞において低酸素後再酸素化により誘導した細胞死を脳虚血再灌流障害のin vitroモデルとしてし、合成した化合物の細胞死保護作用をGR103691と比較検討することにより、新規脳保護薬を探索した。その結果、現在までに、新たにいくつかの化合物に細胞死保護物質のあることが明らかになった。現在、さらに新たな化合物を加え、保護作用に必須な構造等について、化学系研究者の助言を仰ぎながら検討中である。一方、保護作用メカニズムに関しては、活性酸素種(ROS)に注目した検討を開始した。HT22細胞において、再酸素化後3時間以内に細胞死に先立って細胞内ROSの急速な上昇が起きたが、細胞死を抑制する濃度のGR103691はこのROSの上昇も顕著に抑制した。この結果より、HT22細胞における低酸素後再酸素誘発細胞死には、おそらく再酸素化直後から上昇するROSが少なくとも一部重要な役割を演じており、GR103691の細胞死保護作用にはこのROS消去作用が関与するものと推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
23年度は、化学系研究者の協力を得て、新規のGR103691誘導体を合成し、その中から保護物質をいくつか見出すこと、また、保護作用のあった化合物についてその保護メカニズムについて検討を開始し、24年度につなげるというのが当初の計画であった。23年度中に、新規保護作用を持つ物質を見出すことができたが、無効な化合物も多く、有効な保護物質を見出すのまでに予定よりも時間が必要だったため、全体としてやや遅れている。しかし、すでに、いくつかの物質を見出すことができたこと、また、その後、メカニズムの検討には着手したことなど、今後は予定どおりに遂行できるものと考えられ、検体の計画を見直す必要はないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は、やや進行がやや当初の予定どおり、今後は、GR103691およびその誘導体の細胞死保護メカニズムを中心に検討していく。メカニズムの検討にあたっては、まず、細胞内の細胞死情報伝達経路に着目し、特に、(1)Caspase 9および3を中心とするcaspaseおよび関連因子、(2)Apoptosis Signal-regulating Kinase (ASK)1および関連因子、(3)Nfr2およびその関連因子の変化を中心に検討する。また、(4)ROS上昇の指標として、脂質過酸化の初期段階を捉えるとされているヘキサノイルリジンおよび脂質過酸化のマーカーとして繁用されているマロンジアルデヒドの変化等も調べる。一方で、より多くの候補物質を得るため、引き続きスクリーニングも行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最初の計画通り、物品(消耗品)購入費として使用する。購入物品は、滅菌シャーレやピペットなど培養用消耗品および試薬(特に細胞内情報伝達系の検討(Westernblot)に必要な抗体)が中心となる。また、一部を成果発表のために学会出張費として使用する。学会は、第55回日本神経化学会(11th Biennial Meeting of the Asian Pacific Society for Neurochemistryと合同開催:神戸)、または、第86日本薬理学会年会(福岡)を予定している。
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[Journal Article] Deficient of a Clock Gene, Brain and Muscle Arnt-Like Protein-1 (BMAL1), Induces Dyslipidemia and Ectopic Fat Formation.2011
Author(s)
Shimba S, Ogawa T, Ichihashi Y, Yuki Nakadaira, Kobayashi M, Tezuka M, Kosuge Y, Ishige K, Ito Y. Komiyama K, Okamatsu-Ogura Y, Kimura K, Saito M.
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Journal Title
PLoS ONE
Volume: 6
Pages: e25231
Peer Reviewed
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