2013 Fiscal Year Annual Research Report
免疫機能調節における液胞型プロトンポンプとコリン作動系の相互作用に関する研究
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23590121
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
藤井 健志 同志社女子大学, 薬学部, 教授 (80255380)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高鳥 悠記 同志社女子大学, 薬学部, 助教 (90411090)
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Keywords | アセチルコリン / Tリンパ球 / Bリンパ球 / コリンアセチルトランスフェラーゼ / 液胞型プロトンポンプ / メディエートフォア |
Research Abstract |
免疫機能調節における非神経性コリン作動系の役割を解明する目的で、液胞型プロトンポンプ(V-ATPase)に着目してリンパ球コリン作動系活性調節メカニズムを検討した。 1)V-ATPase遺伝子発現:ヒト末梢血単核白血球およびマウス単核白血球における各種V-ATPaseサブユニットの遺伝子発現を確認した。膜貫通部位を構成しているV0 a,b,c(mediatophore)、d、e各サブユニットが発現していた。このうちV0 cサブユニットの遺伝子発現量が一番多いものと考えられた。すなわち、Tリンパ球からのアセチルコリン放出には、mediatophpreが主として関与している可能性が考えられた。2)Tリンパ球活性化の影響:ヒト末梢血単核白血球におけるフィトヘマアグルチニン(PHA)によるTリンパ球活性化に伴い、各種V-ATPaseサブユニットの遺伝子発現は若干増大した。3)ニコチン受容体アロステリックリガンドの影響:ニコチン受容体が免疫機能の調節に関与していることの重要性は我々の研究で明らかになりつつある。内在性ニコチン受容体アロステリックリガンド(SLURP-1)は、Tリンパ球からのアセチルコリン放出を促進させるが、mediatophore遺伝子発現には影響しなかった。Mediatophore遺伝子発現およびアセチルコリン放出を増大させるPHAとはTリンパ球に及ぼす影響が異なることが明らかとなった。 以上のことから、ヒトおよびマウスリンパ球には各種のV-ATPaseサブユニットが発現していること、Tリンパ球活性化に伴い、V-ATPaseサブユニットの機能亢進も重要である可能性が明らかとなった。本研究課題により、今まで未解明であったTリンパ球からのアセチルコリン放出にV-ATPase活性をもつmediatophoreが重要な役割を果たしていることを明らかにすることができた。
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