2011 Fiscal Year Research-status Report
代謝性核内受容体リガンドの活性拡張による抗アルツハイマー活性の創出
Project/Area Number |
23590128
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宮地 弘幸 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20376643)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | γセクレターゼ / NOTCH / チアゾリジンジオン / フェニルプロピオン酸 |
Research Abstract |
平成23年度研究実績として以下の項目に関する成果を得た。(1)SGMHM系化合物誘導体合成に関しては、酸性頭部誘導体の合成、リンカー部誘導体合成、疎水末端部誘導体合成に分けて、各パーツごとの大まかな合成法を確立を検討した。その結果、チアゾリジンー2,4-ジオン環構造は有機溶媒に対する溶解度が極めて低く、反応の初期段階から骨格に導入してしまうと、後の誘導体合成における精製は非常に困難であることが判明した。そこで、疎水性末端部とリンカー部構造を先に構築し、最後に酸性頭部部分であるチアゾリジンー2,4-ジオン環構造をクネーヘナーゲル反応条件にて導入するという合成法を確立することができた。この合成ルートに則り、一連の、評価用最終化合物を15種種類合成することができた。得られた化合物は研究協力者により評価が行われた。(2)SGMHM系化合物誘導体の抗アルツハイマー病治療活性測定と構造活性相関解析に関しては、合成した化合物群のAβ42産生阻害活性、Aβ40産生阻害活性、NOTCH阻害活性および細胞毒性試験の4項目に関する活性評価を行った。その結果、NOTCHシグナルに影響を与えにくい酸性頭部構造としては、プロピオン酸構造よりは、チアゾリジンー2,4-ジオン環構造が好適であることが確認できた。また、共役不飽和結合を有する、ベンジリデンチアゾリジンー2,4-ジオン構造の方が、対応する飽和構造である、ベンジルチアゾリジンー2,4-ジオン構造よりも、副作用低減の観点からは好ましい構造であることが判明した。さらに、疎水性末端置換基の結合部位に関しては、ベンゼン環の3位にフッ素原子を導入すると、Aβ42産生阻害活性は向上するが、一方、2位にフッ素原子を導入すると活性は激減することが判明した。γセクレターゼの三次元構造は見蹴ってではあるが、阻害剤の構造の厳密な認識がおこなわれている可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度において、化合物の合成法の確立と、大まかな初期定性構造活性相関を得ることが目的であった。計画していた研究項目のほぼすべてに着手することができ、またほぼ当初予定の研究成果を得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)SGMHM系化合物誘導体の合成と活性測定によると構造活性相関解析の継続昨年度確立した合成法を駆使し、構造活性相関を得るための化合物合成と活性評価を継続しておこなう。活性評価に関しては、Aβ42産生阻害活性、Aβ40産生阻害活性、NOTCH阻害活性および細胞毒性試験の4項目に加え、予定していた、SC100gal4を発現する細胞を用いた活性評価により、直接的なγセクレターゼに対する阻害効果も検証する。(2)基質選択的加水分解阻害作用物質の作用点解明新規SGMHM系化合物の作用点を解明する.そのための方策として、光親和性標識プローブを用いた作用点解析のための分子プローブを合成する。そして、プローブとセクレターゼ複合体を共存させ紫外線照射後複合体をプロテアーゼで限定分解し得られたペプチドの質量分析を行う.一方でセクレターゼ複合体自体をプロテアーゼで限定分解し,得られたペプチドの質量分析を行い,それらを比較することで,SGMHM系化合物の結合しているペプチド断片,ひいては結合位置を特定する.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、合成した化合物に関する複数の活性データを効率てきに管理整理して構造活性相関解析を行うためにパーソナルコンピューターを1台購入計画する。また、化合物合成のために、有機合成薬品および有機合成器具の購入、合成化合物の構造解析のために研究費を使用する。
|