2011 Fiscal Year Research-status Report
沖縄亜熱帯植物由来の新規抗ウイルス活性化合物の探索研究
Project/Area Number |
23590130
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松浪 勝義 広島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70379890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 英昭 広島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00107385)
杉本 幸子 広島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60549012)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 亜熱帯植物 / ウイルス / 化学構造解析 / 活性試験 |
Research Abstract |
本研究は、研究材料としての植物サンプルの用意、活性評価、単離精製、化学構造の決定といった各段階について、順次進行させる必要がある。以下、各段階の成果について箇条書きにて記述する。1. 研究材料について:これまでに当研究室では324種の植物抽出サンプルを保有しているが、本年度はさらに24種の抽出物を追加することができた。この中にはこれまでに採取、保存していた原料について抽出を行い、エキス化したものを含む。これにより合計約350種の研究サンプルを用意できたことから、本研究に必要な材料は確保できたと考えている。2. 活性評価について:抗ウイルス活性の評価系としてamide blackによるプラークアッセイが安定性にすぐれていたことから、本アッセイ方法を一次スクリーニングの基本アッセイとして採用することとした。上記の各抽出物について評価を行ったところ5種類のサンプルに良好な活性を見出だすことができた。いずれの植物についてもウイルス活性についての報告がないことから新規の抗ウイルス活性化合物が得られる可能性がある。3. 単離精製、化学構造決定について:上記のサンプルの一種については単離精製が比較的良く進行している。これまでに新規化合物4種を含む22種の化合物を単離精製し、少なくともその平面化学構造を決定することができた。他の植物抽出物も含めて未解析な画分が残されていることから、現在、分離を精力的に進めているところである。また、平面構造の決定まで到達した化合物については、絶対配置について化学的誘導体化などにより決定を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要欄に記載したように最初の段階(研究材料の確保)については、予定通りに進行し、この段階は十分達成できたと考えている。次の活性評価についても、安定して評価できる体制を整えることができたことから問題はない。また、この評価系により、すでに一次スクリーニングを終え、研究対象の絞り込みに成功していることから、初年度の目標は達成できたと考えている。3番目の単離構造決定についても1種のサンプルについてはかなり進行させることができており、すでに化学構造の決定が進んでいる。以上のような観点からおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、平成23年度で見出した植物サンプルについてその成分研究をさらに進めることに集中する。続く平成25年度では単離した化合物の活性評価や生化学的な実験により活性メカニズム解析の予備的な知見を得ることを目的としているため、平成24年度中に、単離精製、構造解析について概ね終了したいと考えている。 具体的には、本年度の研究は、まず、Diaion-HPによる疎水性吸着クロマト、シリカゲルカラム、ODS、液滴向流分配クロマト、HPLCと順次分離モードの異なる精製方法を駆使し単離精製を行う。得られた化合物については赤外、紫外線吸収スペクトル、質量分析、1次元、2次元NMRによる化学構造解析、MTPAエステル化などの化学的方法による絶対配置の決定を順次とり行う。時間と労力のかかる段階であると予想しているが、順調に進行させたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の研究を遂行するため、必要となる有機溶媒、カラム担体、ガラス器具、HPLCカラムなどの試薬や消耗品の購入のため、平成24年度について研究費を計上した。また、学内共同機器であるNMRなどは使用料が必要であるため、同じく必要経費に含んでいる。具体的には、有機溶媒:メタノール、クロロホルム、ヘキサン、酢酸エチル、ブタノール、アセトニトリルなどの溶媒が数十リットル単位で必要。NMR用重水素化溶媒:重水素化メタノール、重水素化クロロホルム、重水素化ピリジン、重水素化DMSOなど非常に高価な試薬が数百ml単位で必要。オープンカラム充填剤:Diaion-HP20, シリカゲル,ODSなどの充填剤は数kg単位で必要であり、消耗品として使用される。誘導体合成用試薬:化学構造の決定の際に誘導体化が必要。比較的高価な光学活性試薬が必要。細胞培養試薬:活性試験に必要な細胞培養に関する試薬、消耗品。たとえば牛胎児血清、抗生物質、液体基本培地、培養ディッシュ、滅菌ピペット、アッセイ用96well plate、染色用試薬など。また、NMR使用料は本研究分に数十万円は必要。
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