2011 Fiscal Year Research-status Report
コンプレックスI選択的阻害剤ナフレジンーγの第二次構造活性相関研究
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23590132
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
有馬 志保 北里大学, 薬学部, 助教 (20276158)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 医薬品化学 / 構造活性相関 |
Research Abstract |
Nafuredin ならびにnafuredin-γはNADH fumarate reductase (complex I) の選択的阻害剤であり、動物実験においても優れた結果を示すことが既に明らかとなっている。そこで新たな作用機序を有する新規抗寄生虫薬として今後の開発が大変期待されているが、物理化学的な安定性や種々の誘導化が難しいなど、実用化に向けては幾つかの問題点が存在する。それらを解決すべく、申請者は効率的な全合成経路を確立し、それを駆使した第二次構造活性相関研究を進めるべく(1) 安定性向上を目指した側鎖部の変換、(2) 現在までに得た構造活性相関の知見を基にした新たな新規誘導体の合成を行い、nafuredin-γを基盤とした新規complex I選択的阻害剤の実用化へ向けた種々の有機化学的アプローチを進めていくことを目的として研究に着手している。平成23年度は、主にNafuredin-γならびに誘導体群の安定性向上を目指した新規誘導体の合成を行うべく研究実施計画を立案した。Nafuredin-γは側鎖に存在するジエンが空気酸化を受けやすく、濃縮すると時間の経過とともに分解してしまうことが明らかとなっている。そこで申請者は、この側鎖ジエン部の改良を行うことで安定性を向上させるべく新規誘導体の合成を目指した。なお、新規誘導体の合成には、これまでに申請者のグループにより確立されたNafuredin-γの全合成経路を応用して、ラクトン環とジエン部分を改良した側鎖部をカップリングするコンバージェントな合成法により構築することとし、数種類の新規誘導体の合成を実施した。次いで、合成した新規誘導体の活性評価を実施した。その結果、Nafuredin-γの活性には及ばないものの、安定性が向上された新規誘導体を見出すことができ、新たな構造活性相関の一知見を得ることとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Nafuredin-γは側鎖に存在するジエンが空気酸化を受けやすく、濃縮すると時間の経過とともに分解してしまう。これはnafuredin-γの医薬品としての実用化に対して致命的な問題点でもある。そこで、平成23年度はNafuredin-γならびに誘導体群の安定性向上を目指した側鎖ジエン部の改良を目的とし、新規誘導体の合成計画を立案した。なお、誘導体合成に関しては、申請者のグループにより確立された全合成経路を応用して、ラクトン環と適切な側鎖部をカップリングするコンバージェントな合成法により構築を行うこととした。申請者はまず、ジエンを同じsp2炭素を有するナフタレン環へと変換した新規誘導体の合成を行った。次いで、モノエンへと変換した誘導体を数点合成した後、活性評価を実施した。その結果、合成された新規誘導体の中に、Nafuredin-γの活性には及ばないものの、安定性が格段に向上した誘導体を見出すことに成功した。この結果は、当該年度の目標であるNafuredin-γならびに誘導体群の安定性向上のための新知見となり得る結果であり、「研究の目的」の達成度は、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
(平成24年度:より詳細なラクトン部分の三次元的構造活性相関研究) すでに申請者のグループにより合成されているNafuredin-γ のラクトン部分に特化した新規誘導体の構造活性相関研究より得られている興味深い知見を基に、新規誘導体合成を進めるとともにファーマコフォアの更なる考察を行い、5位水酸基を除去した誘導体、カルボニルを持たない2,5-ジヒドロフラン環を有する誘導体、またエノール性水酸基を除去した4位エピ体を設計しnafuredin-γの構造簡略化を進めていく。平成23年度と同様に合成した新規誘導体は迅速に活性評価を行い構造活性相関検討の後、更なる最適化を行う予定である。(平成25年度:側鎖部分に関する構造活性相関研究) 平成24年度のラクトン部分の三次元的構造活性相関研究の知見を基にして、側鎖部についても更なる構造活性相関を行い、活性を維持しつつ簡略化した誘導体の創製を目指す。合成した新規誘導体は、平成23年度及び平成24年度と同様に迅速に活性評価を行い構造活性相関の取り纏めを行う予定である。研究結果に関してはまず新規誘導体の特許を取得し、随時関連する学会での発表や論文を通して公表して行く予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
合成実験及び活性試験を行うための試薬を含む物品費:1,200,000円研究成果を発表する学会参加の為の旅費:50,000円共同研究先への人件費・謝礼金:40,000円論文作成時の英文校正費及び印刷代としてその他:10,000円直接経費として計1,300,000を使用する計画である。
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