2012 Fiscal Year Research-status Report
オピオイドκ受容体サブタイプと受容体ダイマーの関連の解明
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23590133
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
藤井 秀明 北里大学, 薬学部, 准教授 (30458757)
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Keywords | オピオイド / κ作動薬 / ファーマコフォー |
Research Abstract |
平成23年度に合成したシクロヘキセン誘導体(結合様式3)の評価結果より、フェノール環はκ受容体への結合には必須ではなく、κ受容体への結合に有利な立体配座をとりやすくすると同時に、結合親和性を強くする働きがあると考えられた。本誘導体をさらに発展させ、酸素官能基を有するシクロヘキセン誘導体を合成したところ、受容体結合能はさらに向上し、かつ水素結合供与性の相互作用を介して受容体と結合していることを実験的に示唆する初めての知見が得られた。また、結合様式4に属する化合物として、17位窒素にフルオロアルキル基を導入したTRK-820誘導体を設計・合成したところ、導入したフッ素原子の数に従いκ受容体に対する親和性はある程度低下したものの、μおよびδ受容体に対する親和性は大きく低下し、結果としてκ受容体選択性の向上が観察された。本誘導体は、様式4でκ受容体に結合していると考えられる。これで、4つの結合様式全てのタイプの化合物(結合様式1はTRK-820や既報告化合物であるKNT-63など、結合様式2は市販のU-50,488Hなどを利用)が入手できたことになる。 非標識化合物による活性評価システム(CellKeyTM System)を用いた化合物の活性評価については、μ、δ、κいずれの受容体に対しても活性評価が可能であることを確認した。また、δ受容体に対してではあるが、CellKeyTM Systemを用いての評価結果と、既存の評価方法(GTPγS結合実験およびcAMP評価系)による結果を比較したところ、GTPγS結合実験による結果とよい一致が認められた。cAMP評価系による結果との比較においては、活性(potency)の絶対値に差異は認められたが、傾向は一致した。この結果は、論文発表準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に合成したTRK-820のフェノール環を除去した化合物はκ受容体に対する 結合親和性を示したものの、TRK-820自身と比較すると親和性は非常に弱いものであった。しかし、同じく平成23年度に合成したTRK-820のフェノール環をシクロヘキセン環に変換した化合物のκ受容体に対する結合親和性は大きく向上し、これら化合物は結合様式3をとっていると考えられる。シクロヘキセン誘導体をさらに発展させ水酸基基を導入したところ、結合親和性はさらに向上した。一方、ケトンの導入は結合親和性にほとんど影響せず、酸素官能基は水素結合供与体として受容体と相互作用していると考えられる実験的知見が得られた。また、結合様式4に属する17位置換基としてペルフルオロアルキル基を導入したTRK-820誘導体を合成したところ、κ受容体に対する結合親和性は低下するものの、μおよびδ受容体に対する結合親和性はさらに大きく低下し、結果としてκ受容体選択性が向上した。本化合物は、結合様式4をとっていると推察される。 活性評価系については、CellKeyTM Systemを用い(ヒト受容体発現細胞を使用)、μ、δ、およびκ受容体に対する作動活性を評価できることを確認した。また、GTPγS結合評価系(ヒト受容体発現細胞を使用)も立ち上げた。さらに、δ受容体に対してではあるが、両評価系による結果がよい一致を示すことが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
結合様式4に属する設計化合物として、TRK-820のピペリジン環を除去した化合物の合成に着手する。 平成24年度までに得られた結果より、我々が提唱しているκ作動薬のファーマコフォーモデルにおいて想定している4つの結合様式の全てを実験的に確認したことになる。しかし、この結果は全て受容体結合実験の結果のみに基づくものであり、合成化合物のκ受容体作動活性については未検討はである。各結合様式に属する化合物の作動活性を、CellKeyTM Systemまたは/およびGTPγS結合評価系により評価を進め、4つの結合様式を確認していく。なお、単一のヒト型受容体発現細胞をもちいたCellKeyTM Systemによる評価系は確立できたが、2種の受容体(例えば、κ受容体とμ受容体)を共発現した細胞は樹立できておらず、樹立でき次第、検討していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
化合物合成は、結合様式4に属するTRK-820のピペリジン環を除去した化合物を中心に実施する。また、結合様式4に属するサルビノリンAは、市販品を購入することにより対応する。 化合物評価につては、受容体結合実験は継続して実施すると共に、作動活性評価に注力する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] The effect of 17-N substituents on the activity of the opioid κ receptor in nalfurafine derivatives2013
Author(s)
Nemoto, T.; Hirayama, S.; Iwai, T.; Yamamoto, N.; Harada, Y.; Wada, N.; Tomatsu, M.; Ishihara, M.; Fujii, H.; Nagase, H.
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Journal Title
Bioorg. Med. Chem. Lett.
Volume: 23
Pages: 268-272
DOI
Peer Reviewed
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