2011 Fiscal Year Research-status Report
がんウイルスEpsteinーBarr Virusに対する新規分子標的薬の開発
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23590134
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
野口 耕司 慶應義塾大学, 薬学部, 准教授 (80291136)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | EBNA1 / がん / 分子標的 / 阻害剤 |
Research Abstract |
本申請課題では、ヒトがんウイルスEpstein-Barr virus/EBVに対する新規分子標的薬の開発を目指している。具体的には、DNAに結合するピロールイミダゾールポリアミド化合物に着目し、EBV発がんに重要なEBNA1蛋白質のDNA結合を抑制する抗EBNA1阻害剤の開発を目的とする。本年度は、OriP DNA配列に結合してEBNA1の機能を阻害する化合物の開発を目指し、OriP 上のEBNA1結合塩基配列に特異性高く結合するピロールイミダゾールポリアミド化合物のデザインと合成実験を行った。まず、OriP上のDS領域の4カ所のDNA配列 site 1~4に対するポリアミド化合物DSE1,2,3,4を実際に合成、精製した。また、本化合物を用いてのin vitro EMSA用に大腸菌組換え蛋白質、GST-EBNAを大量精製した。この組換え蛋白質を用いたGST-EBNA1とoriP DNAとのin vitro binding EMSA assayの実験系を最適化した。その過程で、GST-EBNA1があまり高濃度に存在すると、それにより塩基配列特異的な結合よりも、GST-EBNA1の非特異的なDNA結合が生じてしまうことが判明した。そのためより選択的な実験条件を検討したところ、反応液に少量のデタージェントを加味することで、より塩基配列特異的なDNA結合が安定して見られるようになった。この実験条件で、ポリアミド化合物とoriP DNAの結合を検討した結果、マイクロモルオーダーでのポリアミド化合物とoriP DNAとの結合が確認された。さらにEMSAアッセイにより、その条件では一つのポリアミド化合物に、EBNA1-DNA結合の阻害活性が認められた。今後さらに解析していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ポリアミド化合物の合成が主要な目標であったが、実際に、数種類の合成に成功し、ある程度の精製度で使用出来るようになっている。その結果、平成24年度の計画にあったポリアミド化合物とEBNA1-oriP結合阻害実験に着手できている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度では、OriP 上のEBNA1結合塩基配列に特異性高く結合するピロールイミダゾールポリアミド化合物のデザインと合成を行った。次は、合成されたポリアミド化合物によるEBNA1-OriP DNAの結合阻害確認の為のin vitro実験を行い、最適な化合物のスクリーニングをおこなう。その後、EBNA1のDNA結合に対する阻害活性が見いだされた化合物については、その標的となるDNA塩基配列を確定させるために、in vitroのFootprinting assayを行い、DNAのどの配列に化合物が結合しているか確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度同様、ほとんどをin vitroのスクリーニング実験用に試薬やチューブなどの実験消耗品の購入に計上するが、同時に、海外での学会発表用に旅費を計上する予定である。
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